漆野凪 "読まれる覚悟" 2025年4月15日

漆野凪
漆野凪
@urushinonagi
2025年4月15日
読まれる覚悟
読まれる覚悟
桜庭一樹
とても良かった。小説を読まれるとどのようなことが起こりうるのか、やさしく読みやすい言葉で誠実に語られている。終盤、タイトルである『読まれる覚悟』へ収束していく様子も爽快で気持ちよかった。 「わたしは、職業としての小説家である以上は、荒唐無稽でも、机上の空論でも、実現不可能な綺麗事でも、幼さが残る理想論でも、このような主張をする義務をもつときがあると思っています。 「それでも暴力をなくさなければいけない」と。」(p.35)から滲み出る、桜庭一樹さんの誠実さと小説家という職業に対する責任感が好きで、安心できて、だから私はこの方の小説を好んで読んでいるのだなと腑に落ちた。 「最近、アップデートって、「新しいものをインストールする」というよりも、「自分が間違っていたことを理解する」ことなのかな、と思うんです。」(p.163)という言葉にも、誠実さが表れていると思う。はたしてそのようなとき、私は間違いを認められるだろうか。きっと難しいだろう。間違いを認めてそれを正せるような誠実な人間でありたいと、常に願っている。 批評についても取り上げられていた。私は批評のことがよくわからないので入門書を読んでみたいのだけれど、引用・参考文献として挙げられている北村紗衣『批評の教室』、廣野由美子『批評理論入門』が気になっている。しかし、まずは手元にある北村紗枝『お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』から手をつけてみたい。
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