

漆野凪
@urushinonagi
Vtuberをしている 百合が好き
- 2025年9月29日成瀬は天下を取りにいく宮島未奈読み終わったなんでもできて飄々としているが、突拍子もないことを言い実行に移す女である成瀬。その成瀬を中心とした連作短編集。 百合(この場合の百合とは女性が女性に一定の質量をもった感情を向けていることを指す)という前評判を聞いて読んだ。 成瀬の幼馴染である島崎が、成瀬に対する好意を隠さず、成瀬の為すことを見届けようという決意の表れが百合だった。なおかつ、飄々としているように見える成瀬も島崎のことで普段のペースを崩したりと、成瀬なりに島崎を大切に思っている描写がありとても良かった。物語の終盤で示される2人の絆には、思わず涙腺が緩んでしまった。 続編も出ているらしい。またこの2人の物語が読めるなら、是非読みたい。
- 2025年9月29日「声」の言語学入門川原繁人気になる
- 2025年9月25日「悪魔のささやき」で書く短編小説わかつきひかる読み終わった文法や起承転結、投稿の仕方といった小説を書く際のテクニックが具体的に解説されている。 ドリル形式になっていて、作中の問題を解くことによって実力がつくように設計されていた。私は読みものとして読んだが、それでもじゅうぶん面白かった。私はわかりやすい文章がいい文章だと考えている。この本の文章はとてもわかりやすくていい文章だった。 最近、小説を書くために文章についての本を手に取っては読んでいるのだが、この本の中にキャラクターをのっぺらぼうにしない、という項目があり、どきっとした。私は一人称で小説を書きがちで、一人称視点だと主人公の見た目がなかなか明示されない。だから私の書く主人公はのっぺらぼうになりがちなのだ。発見だった。それだけでも、この本を読んだ甲斐があったと思う。
- 2025年9月25日
- 2025年9月22日読み終わった好きなものについて語りたい。そんなときのために、「好き」を表現するテクニックがわかりやすく簡潔に示された一冊。 「自分の言葉を持つ」という大きなテーマが主軸で語られている。このテーマは『みんなどうやって書いてるの? 10代からの文章レッスン』でも語られているが、本著の方がより具体的なテクニックが示されている。心構えが読みたい方は『10代からの文章レッスン』がおすすめ。 個人的に、「言語化とは細分化」と言われていたのがとても腑に落ちた。どこがどう好きなのかを細分化するのが言語化なのだ。 「言葉は、自分の好きな感情、好きな景色、好きな存在がいつかなくなってしまうとしても、いつでも取りだして、愛でることができるように、保存するためのもの」という記述には同意できなかった。個人的に、言葉は他人もしくは自分と対話するためのものだと考えているからだ。
- 2025年9月21日いい音がする文章高橋久美子読み終わった全く理解できないが、面白い本だった。 著者は言葉を「音」として捉えているが、私は言葉を「文字」として見ているし、意味を持ってこその言葉だと思っている。その考え方の差により、見ている世界がこんなにも違うのか、同じ言葉でもこんなにも伝わらないのか、と驚いた。 また「文章を書くのは決断の連続である。」という記述があった。文章を書くことは取捨選択の繰り返しで、そもそも言葉にすることで取りこぼしてしまうニュアンスだってあるかもしれない。それでも、誰かに伝えたくて(この場合の誰かとは自分でも、他人でもよい)きっと筆を取るのだろう。 面白いが、あまりに異なりすぎる思想の文章は想像力が必要で、読んでいて疲弊する。それでも読まずにはいられない。そんな本だった。
- 2025年9月9日レシピの役には立ちません阿川佐和子読み終わった料理に関するエッセイ集。どのエッセイも、テンポがよく読みやすい。 作中の、「胃袋は、まもなく投入される食べ物のかたちになって待機しているに違いないのだ。」という文章がとても好きだ。〇〇の口、たとえばお寿司の口などの表現はよく使われるけれど、胃袋がそのかたちになって待機しているとは考えたことがなかった。考えたことはなかったけど、とてもしっくりきた。何か食べ物を望むときに、臓器がそのかたちをしているなら仕方ないよね、という気持ちにもなる。 サンドイッチのパンの耳に対して「暴力的」と表現しているのも好きだ。繊細な歯触りのサンドイッチたちに突如混ざる、硬くて噛み切りにくいパンの耳。別にパンの耳のことは嫌いではないけれど、サンドイッチという食べ物においてはノイズになる部分があると思う、と深く納得した。「暴力的」という強いことばを、作中ではやわらかく使っているところも作者のすてきなところだろう。 この本を読んでいる最中、猛烈にお腹が空いてなんちゃって鹹豆漿を作った。満たされる感覚があった。
- 2025年9月8日あのころなにしてた?綿矢りさ読み終わったコロナ禍に日常が飲み込まれていく様子が描かれた日記。タイトルとその描写も凝っていて、「あのころなにしてた?」は基本的に青で描かれているのだが、「ころな」の三文字だけ黄色で描かれている。 この本の言葉選びがいいのはもちろんのこと、綿矢りささんの想像力の豊かさに驚かされた。「好きな人の息の通り道が可視化できるのは、なんだか面妖だ。もしいま自分が学生で、片想い中の何々くんがマスクをへこませてたら、ときめく気がする。」という文章なんて、その最たるものだ。 「以前は自著の読者の方々から共感が欲しいと思ってたけど、今は共鳴したいと思う。自分の中に潜んでいる物語を探し当てるのに必死になっていたけど、最近は書き手より、むしろ読み手に脈打つ何かが潜んでいて、文章で読者の敏感な神経に触れたら、共鳴が返ってくるのではと感じている。」という記述にも納得させられた。共感ではなく共鳴。いい言葉だ。私の言葉も、いつか、誰かの心の一部を震わせられるだろうか。
- 2025年9月8日会話の0.2秒を言語学する水野太貴気になる
- 2025年9月8日
- 2025年9月8日墨のゆらめき三浦しをん気になる
- 2025年9月4日ビューティフルからビューティフルへ日比野コレコ読み終わった学生である静、ナナ、ビルEの3人が、なんとか日常を生き延びているモノローグが綴られている。抽象的すぎてわからない文章もあるのだが、言葉の選び方や組み合わせ方がとにかく気持ちがいいし、文章の構成もだんだんと一点へ収束していく爽快感がある。一本、筋のような信念の通った文章。 ネグレクトを受けてきた少女が「あの人は私の感情をカツアゲしてこないから、私はことばぁが好きだ。」と内心を吐露するシーンがある。この、感情のカツアゲという概念が、今の私にはとてもしっくりきた。 例えば、高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』も、感情のカツアゲがテーマの作品だ。過度な共感って、感情の共有による仲間意識の形成って、感情のカツアゲだ。生き延びるためには無害ですよ、と同じ感情を差し出すしかない。そうして、日常をやり過ごしていくしかない。 作中の特に好きな一節に「こう、わたし、熱々の絶望のあんこを、薄くて透明な希望のおもちで包んでるみたいなすてきな人間だ。」というものがある。わたしもこうありたい。生きることへの絶望が透けて見えるけれど、実際に触れようとすると希望にしか触れないような、そしてそれを自分で「すてき」と言えてしまうような人間になりたい。
- 2025年8月25日みんなどうやって書いてるの? 10代からの文章レッスン国崎和也,安達茉莉子,小沼理,武田砂鉄,石山蓮華,荒川洋治,金原瑞人,頭木弘樹借りてきた読み終わった文章を書きはじめるときにどうしたら書き始められるのか、またどうしたら書き続けられるのか、といったことが様々な著者の視点で語られている。文章を読んでいる最中から、自分でも文章を書きたくなる本だった。 「他者の目や声があるから書き続けられる」という記述が想定より多かったのが意外だった。文章を書く人について、自分との対話として文章を書いているのではと思っていたからだ。 書くことについて記述されているので、言葉が完全ではないことも、言葉が持つ有害性についても言及されているのが良かった。どうやら私はこの「言語化の功罪」に興味があるらしい。 私は言葉の力を信じている。だからこそ積極的に、なるべく物事に近い形になるようにと言語化を試みている。その過程で言語の形に押し込めてしまう暴力性というのは発生するし、言葉にする過程で切り捨ててしまうものも発生する。言葉を愛しているゆえに、言葉の暴力性とそれが切り捨ててしまうものを、常に見つめていかなければならない。
- 2025年8月19日ウミウシを食べてみた中野理枝読み終わったウミウシが好きすぎて社会人になってからウミウシに関する研究で大学院を卒業した著者が、ウミウシの出会いや生態、はては食レポまでを記した一冊。 ウミウシの体に関する記述が少し難しかったけれど、エッセイ的な部分は楽しく読むことができた。ウミウシの幼生であるヴェリジャー幼生には殻があると知って驚きだったし、ウミウシの味についての描写では知的好奇心を刺激された。 また、解剖の道具として丸い割り箸に虫ピンをつけたものを使っているらしいのだが、その割り箸がほっともっとのものが一番具合がいい、という旨の記述がされていて、よくわからない親しみを覚えた。こういう生活に密接な情報が読んでいる本から出てくると、とても嬉しい気持ちになる。
- 2025年8月5日ネコは(ほぼ)液体である ネコ研究最前線子安ひかり,服部円気になる
- 2025年8月4日四維街一号に暮らす五人三浦裕子,楊双子気になる
- 2025年8月4日
- 2025年7月27日いちばん親切な西洋美術史川口清香,池上英洋借りてきた
- 2025年7月27日ショートケーキは背中から平野紗季子借りてきた
- 2025年7月27日妖怪を名づける香川雅信借りてきた
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