
ねこ
@notoneko25
2025年4月16日

愛するということ
エーリッヒ・フロム,
鈴木晶
図書館で借りた。
p50
したがって尊重には、人を利用するという意味はまったくない。私は、愛する人が、私のためにではなく、その人自身のために、その人なりのやり方で成長していってほしいと願う。誰かを愛するとき、私はその人と一体感を味わうが、あくまでありのままのその人と一体化するのであって、その人を、私の自由になるようなものにするわけではない。
p91
誰かを愛するというのは、たんなる敷しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。
もし愛がたんなる感情にすぎないとしたら、「あなたを永遠に愛します」という約束にはなんの根拠もないことになる。感情は突然生まれ、また増えていく。もし自分の行為が決意と決断にもとづいていなかったら、私の選は永遠だ、などとどうして言い切れるだろうか。
p94
隣人をひとりの人間として愛することが美徳だとしたら、自分を愛することだって美徳だろう。少なくとも悪ではないだろう。自分だってひとりの人間なのだから。そのなかに自分を含まないような人間の概念はない。自分を排除するような理論は本質的に矛盾している。
p176
精神を病んだ人はおしなべて、客観的にものを見る能力が極端に欠如している。正気を失った人間にとって、存在する唯一の現実は、自分のなかにある、欲望と恐怖がつくりあげた現実である。