
ひよこ
@tsumu_books
2025年4月15日

恋とか愛とかやさしさなら
一穂ミチ
それぞれの立場に、それぞれの地獄があって終始ひりひりするような物語だった。まなざすこと、まなざされること。まったく同じ体験はないにしろ、みたことがある・触れたことがある部分があった。
新夏は強いとおもう。
作中では「アーティスト気質」と揶揄されてもいたけれど、自分のなかの「わからない」にここまで向き合うにはかなりの強度が要る。
「そのくらいのこと」と矮小化してみないふりをするか、「わかるはずはない」と切り捨てるか。その方がずっと楽。それにだって胆力が要るけれど。
自分だったらどうしただろう。
愛していても許せないかもしれない。でも愛していたら、切り捨てる踏ん切りもつかないかも。
見届けるって、どこまでなにを。
見届けたら、そのあとは。


