
爽快さわやか˚₊·—̳͟͞͞♡
@login_save
2023年5月2日

わたしに無害なひと
チェ・ウニョン,
古川綾子
読み終わった
韓国文学
短編集なんだけど、そのどれもが過去に何かを諦めたこと、誰かを傷つけたことがある人の記憶の物語だった。でもだからこそ過去の言葉や環境、社会の空気感に目を向けて、自分の鈍さや愚かさを見つめ直すことで、希望へと繋がっていく。
どの物語も良かったけど、私は『砂の家』が一番好きだった。インターネットのコミュニティで顔も知らない人たちと何かを共有する、そしてそこから一歩踏み出して実際に会って交流する描写も全部自分事のように思えた。あと想像だけで理解した気になってしまう傲慢さも思い当たる節が多かった。
『砂の家』でコンムの撮る写真は人がいないという描写があったんだけど、「どうして人がいないの?」と聞かれたときのコンムの答えが「自分の伝えたい言葉を言うために、人を利用することになりそうで」だったのが印象に残っている。あぁこの人は“人を客体化すること”の暴力性を認識しているのだなと。

