わたしに無害なひと

13件の記録
- 爽快さわやか˚₊·—̳͟͞͞♡@login_save2023年5月2日読み終わった韓国文学短編集なんだけど、そのどれもが過去に何かを諦めたこと、誰かを傷つけたことがある人の記憶の物語だった。でもだからこそ過去の言葉や環境、社会の空気感に目を向けて、自分の鈍さや愚かさを見つめ直すことで、希望へと繋がっていく。 どの物語も良かったけど、私は『砂の家』が一番好きだった。インターネットのコミュニティで顔も知らない人たちと何かを共有する、そしてそこから一歩踏み出して実際に会って交流する描写も全部自分事のように思えた。あと想像だけで理解した気になってしまう傲慢さも思い当たる節が多かった。 『砂の家』でコンムの撮る写真は人がいないという描写があったんだけど、「どうして人がいないの?」と聞かれたときのコンムの答えが「自分の伝えたい言葉を言うために、人を利用することになりそうで」だったのが印象に残っている。あぁこの人は“人を客体化すること”の暴力性を認識しているのだなと。
- 月明かり@book_dragon2022年11月29日かつて読んだチェ・ウニョンさんほど正直に人の心を描く作家を私は見たことがない。気づけばこの世で一番好きな作家さんに。 “わたしに無害なひと”という題名ではあるけれど自分に無害な人は存在しないし、人間は常に誰かを傷つけ誰かに傷つけられる不完全な存在であると気付かされる。 お気に入りの短編は「過ぎゆく夜」「砂の家」「差しのべる手」。特に最初の二つは私の体験にすごく似ていて心がザワザワするけど決して嫌な感情ではなかった。