
時雨崎
@rainstormbook99
2025年4月16日

狐花 葉不見冥府路行
京極夏彦
読み終わった
心に残る一節
「お前の幽霊は、私が見よう」
珍しく分厚くない京極夏彦。歌舞伎の脚本用の書き下ろしたものなのでサクサク読める。
彼岸花の着物を纏った美貌の男性 萩之介が、とある家とその関係者たちの前に現れる。しかし彼は、痴情のもつれで密かに殺されたはず。彼は幽霊なのか、それとも。
少しずつ明らかになっていく過去の因縁はさすがの話の上手さ。
話の閉じ方が物悲しくやりきれない。憑き物落としをするのは「百鬼夜行シリーズ」の中禅寺秋彦の曾祖父にあたる御方。あれの雰囲気が時代劇的な舞台に、そしてコンパクトにまとまっている。
今後の京極作品布教の候補になりそう。