JUMPEI AMANO "性/生をめぐる闘争" 2025年4月17日

JUMPEI AMANO
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年4月17日
性/生をめぐる闘争
第6章読み終わる。 2節3の〈「女性優先フェミニズム」とトランス嫌悪言説〉は日本の現状を理解する上でも大事だと思うし、やはりここでも歴史的な構造や政治が背景を成しているのが興味深くある。 〈性的マイノリティの人権課題を包摂した「性平等」を放棄し、代わりに既存のジェンダー秩序を脅かさない「両性平等」を支持するという点で、TERFと保守派の一点共闘が実現した。[...]性器の形状とジェンダー・アイデンティティとの間に一貫性があるべきとする歴史的に構造化された異性愛規範が、両者の政治的立場の差異を架橋する役割を果たしたのである。〉(352頁) この章でとりわけ勉強になった分析は3節2〈プロテスタント右派の組織化と憎悪の動員〉。 冷戦秩序とプロテスタントの飛躍的な発展(366頁)、盧武鉉政権が推進した「過去精算」が保守派にもたらした動揺、あるいは喚起してしまった敵対心(368頁)、反共イデオロギーと同性愛の関連づけとそれによる他社化(372-373頁)、難民排斥と覇権的男性性の再構築(376-379頁)、等々... 〈反同性愛言説や反トランス言説、ムスリム難民に対する嫌悪言説は一見したところ相互に無関係のように見える。しかし異性愛規範と人種主義(レイシズム)の交差は、冷戦秩序の復権を企てる保守政治への合流という点でつながっている。バックラッシュの言説を歴史的な文脈とトランスナショナルな政治との交わりという観点から読み解くことで、そのことが初めて明らかになるのだ。〉(379頁)
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