性/生をめぐる闘争

35件の記録
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月18日読み終わった就寝前読書お風呂読書終論に収められた補論〈東アジアと複数系のホモナショナリズム〉の迫力がすごかった...。消化しきれていない気もするのでどこかのタイミングでもう一回読みたい。 1節目の〈制度への包摂をあらかじめ「良きこと」と措定するのではなく、制度のありようや包摂/排除の境界設定をめぐる政治そのものを問うことが求められるのだ〉(406頁)という指摘にもハッとさせられた。 分厚かったけど、最後まで読んでよかった。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月17日まだ読んでる就寝前読書お風呂読書第6章読み終わる。 2節3の〈「女性優先フェミニズム」とトランス嫌悪言説〉は日本の現状を理解する上でも大事だと思うし、やはりここでも歴史的な構造や政治が背景を成しているのが興味深くある。 〈性的マイノリティの人権課題を包摂した「性平等」を放棄し、代わりに既存のジェンダー秩序を脅かさない「両性平等」を支持するという点で、TERFと保守派の一点共闘が実現した。[...]性器の形状とジェンダー・アイデンティティとの間に一貫性があるべきとする歴史的に構造化された異性愛規範が、両者の政治的立場の差異を架橋する役割を果たしたのである。〉(352頁) この章でとりわけ勉強になった分析は3節2〈プロテスタント右派の組織化と憎悪の動員〉。 冷戦秩序とプロテスタントの飛躍的な発展(366頁)、盧武鉉政権が推進した「過去精算」が保守派にもたらした動揺、あるいは喚起してしまった敵対心(368頁)、反共イデオロギーと同性愛の関連づけとそれによる他社化(372-373頁)、難民排斥と覇権的男性性の再構築(376-379頁)、等々... 〈反同性愛言説や反トランス言説、ムスリム難民に対する嫌悪言説は一見したところ相互に無関係のように見える。しかし異性愛規範と人種主義(レイシズム)の交差は、冷戦秩序の復権を企てる保守政治への合流という点でつながっている。バックラッシュの言説を歴史的な文脈とトランスナショナルな政治との交わりという観点から読み解くことで、そのことが初めて明らかになるのだ。〉(379頁)
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月16日まだ読んでる就寝前読書第6章2節まで。 同性愛集団内部におけるゲイ男性による/女性運動内部における異性愛者による、レズビアンの周縁化。「女性」のなかの多様性の不可視化。あるいは「健康家庭」が不可視化する同性カップルやシングルの生き方。そして保守政治に絡みとられた「多文化政策」... 出だしから盛りだくさん。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月16日まだ読んでるお風呂読書第5章を読み終わる。保守派との交渉過程で、性的マイノリティ運動が親密性をめぐるラディカルな路線や可能性を放棄してしまったこと、婚姻平等の実現という歴史的成功を新たな根拠に台湾ホモナショナリズムが主流化したこと。読み応えのある章で消化するのに時間がかかりそう。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月14日まだ読んでるお風呂読書第4章4節と第二部まとめを読む。まさに公共空間や社会秩序をめぐる政治と歴史の話。どれだけ都市というものが無色透明でも中立でもないかがわかる。 〈プライドパレードはクローゼットの中に放り込まれたセクシュアリティを公共空間で可視化(アウト)する営みであり、保守派が表明した苛立ちや怒りの強さは、皮肉にも、かれらがクィアパレードの社会運動としての特徴を適切に理解していることの表れであると言ってよい。〉(242頁) 〈市庁広場やパレードの行進するストリートを取り囲む警備は、ソウル市という公共空間の中にクローゼットを産出しているのだ。性的マイノリティが身を置く空間を警察が何重にも取り囲む様子は参加者の安全を守るようでいて、そのじつ性的に「正常」な市民(マジョリティ)からパレードを隔絶しているようでもある。〉(248頁)
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月13日まだ読んでるお風呂読書第4章3節の途中まで。内容としてはソウル市児童生徒人権条例の成立過程を追うパート。 〈エイズ・パニックを背景に、ゲイ男性が過剰な性愛のイメージを付与されてウイルスを撒き散らす「公敵」として強烈にスティグマ化されたのに対し、レズビアンはそもそも議論の対象とならなかった。軍刑法が問題化したのも「一級市民」としての男性間の性行為であり、女性は兵役からも、そして兵役に紐づけられた市民権のカテゴリーからも排除されていた。女性同士のロマンスや性愛がときに語られたとしても「まだ然るべき男性にめぐり会っていない思春期の一時的な問題」として矮小化・否認された。〉(220頁) ジェンダー間の差異と権力勾配。忘れてはいけない視点。 「青少年の同性者である」ということ、について論じた項が殊更に重い... 〈青少年の同性愛者であることは[...]韓国社会において二重に周縁化されていることを意味する。「青少年であること」と「同性愛者であること」、いずれの場合も人権や権利の主体として想定されてこなかったからだ。〉(222頁) 韓国基督教総連合会を批判する遺書を残して命を絶ったユン・ヒョンソクの話がとても悲しく、またその理不尽に憤りを覚える。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月12日まだ読んでるお風呂読書今日は気圧が酷すぎるので早めにお風呂。第3章を読み終わる。 2014年の台湾同志パレードでのアジテーションのシーンがよかった(191-192頁)。 〈異性愛的な都市空間に個々の身体を晒す(カムアウトする)行為であると同時に、不特定多数の身体が集まって「同志」という集合的アイデンティティを形成する集合行為〉としてのプライドパレード、そして「同志」というカテゴリーの一枚岩でなさの話もよかった(193-195頁, 199頁)。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月12日まだ読んでる移動中第3章3節まで。 〈性解放派フェミニストは、セックスワーカーの「労働者」としての権利を保障する文脈で英語圏で蓄積されてきた言説を翻訳して[...]公娼たちの労働運動を支援した。性解放派フェミニストによる介入の重要性は強調されてしかるべきだが、そこでは公娼制が日本と国民党の重層的な植民地主義の遺産であるとする視点が欠けており、その点で限界を含むものであったと言えるだろう(とはいえ、この点は公娼制の廃止を主張した主流派フェミニストも同様であった。〉(175頁、註88) 福永(2023)「男たちの帝国と東アジア」も読み直したい。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月11日まだ読んでるお風呂読書〈[...]新公園/二二八和平紀念公園にはパブリック・ヒストリーから抹消されつつも、公然の秘密として人びとの間で知られたもうひとつの「特別な文化的意義」があった。それは[...]「ハッテン場(発展場)」としての歴史である。[...]台北市が民主化を標榜して改修計画を公表したとき、ハッテン場としてのスペースを抹消するねらいがあると考えたゲイやレズビアンらが立ちあがり、台北市に対する抗議活動を展開したのである。これが台湾社会で最初に公的関心を集めた性的マイノリティの社会運動となった。〉(154頁) 第二部第3章に突入。この章もとても面白そう。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月10日まだ読んでるお風呂読書今日は疲れているので第一部のまとめと第二部のはじめにをさらっと。 〈韓国は冷戦体制下で国家として生存する道を模索する過程で軍議主義を徹底し、これに対する批判を寄せつけない政治体制を構築してきた。韓国は朝鮮戦争やベトナム戦争を経験しただけでなく、朝鮮戦争がいまだに終結していないことがその軍事主義をより強固とする要因であったとみられる。こうした安全保障をめぐる歴史と現状が、ポスト冷戦期の韓国と台湾のセクシュアリティの政治に差異をもたらす重要な背景となっていると考えられる。〉(140頁) この韓国の状況に対して当然日本も無関係ではありえないということですね...。 51頁に書かれていた通り、〈軍隊や徴兵制を扱う議論は、日本の多くの読者には馴染みが薄く感じられるかもしれないが、そのことは戦後日本(本土)が冷戦体制下で特権的な状況に置かれてきたことを示唆するものでもある〉。
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月9日まだ読んでる就寝前読書脚注54に、かつて松岡宗嗣さんと一緒に作った『あいつゲイだって——アウティングはなぜ問題なのか?』への言及があった。嬉しい。 同じく脚注でいうと、53には藤高和輝さんの論考が出てきた。最初のほうには「Decolonize Futures」も出てきてた。どちらも好きなので嬉しい。 以上はどうでもいい感想。とりあえず第2章、「ソドミー法と同性間性行為の犯罪化」のところが興味深い。 〈ソドミー条項が米国による直接統治をつうじて韓国社会に移植されたという歴史は、軍隊の同性愛者に対する処遇が単に一国内で偶発的に発生した事件(イベント)ではなく、近代優生思想やソドミー法のトランスナショナルな流通という観点からも検討すべき現象であることを示唆している。〉(123頁) ソドミー条項に対する違憲訴訟の経緯も勉強になった。 〈[...]憲法裁判所は保護法益が「軍という共同社会の健全な生活と軍紀の保護」と「国家安保」にあると主張して合憲判断を下している。〉(133頁) やるせない...
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月9日まだ読んでるお風呂読書〈これ[韓国の性別変更要件]が日本の性同一性障害者特例法の性別変更要件と酷似しているのは、韓国の方針が先行する日本の事例を参照したからとされる。〉(108頁) 〈ピョン・ヒスは「男性器」の喪失を根拠に兵士の身分を剥奪されたのである。〉(110頁) 第2章4節まで。日本の状況も考えながら鬱々とした気持ちになってくる...
- JUMPEI AMANO@Amanong22025年4月8日まだ読んでる就寝前読書お風呂読書いよいよ本論。〈包摂〉、(解放〉、〈権利〉をめぐる闘争という三部構成がかっこいい。第一部第1章は50年代以降、主に90年代の台湾。5節が特に面白い。ゲイ男性がどのように徴兵制に〈包摂〉されていったのか。やるせないけど、大変勉強になった。
- とばち@tobachi2025年3月9日気になるこの記事を読んで、気になった。 https://book.asahi.com/jinbun/article/15652357 著者の方の経歴を見て気になったので調べてみたら、同じ研究室(ゼミ)の卒業生だった。