すり身
@surimi
2025年4月19日

温かいテクノロジー みらいみらいのはなし(ライツ社)
林要,
林要(GROOVE X創業者・CEO),
根津孝太
旅先の図書館で気になった部分だけ読んだ時の感想。
面白くて即購入したので、ながら読みのときの感想を記録用として残しておく。
LOVOTっていう家庭用ロボット作った開発チームの方が書いた本。
普通ロボットは「完璧であること/人間の上位互換であること」を目標に作られているが、LOVOTは真逆。
本のタイトルにもあるように「あたたか」く人に寄り添うことを主軸に作られている。
人とのコミュニケーションを円滑に回すために最適な形を取らせたら、完璧から外れる……って説明が繰り返されて、そこがめちゃくちゃ面白い。
・老人ホームにLOVOTを貸し出したら、ご老人から「手を暖かくして欲しい」とリクエストを受けた。これは研究者の筆者には思いつかなかった改善提案。
・LOVOTの頭部には360度見渡せるカメラが着いている。このカメラは身体をくり抜いて、胸元などに内蔵することも可能だったが、あえてそれはしていない。胸元に付けてしまうと、着替えが出来ず、お世話の概念が薄れてしまうから。
世話をし、愛着を持たせることが狙いにある。
また、LOVOTにとってカメラは五感。人間の五感の殆どは顔面に集まり、露出している。それと同じようにLOVOTの五感であるカメラも、敢えて頭部に露出させている。
それが生き物としても自然な姿。
・クラウドを使わないことで、送信の手間を減らし、反射神経を極限まで高めるのすごくおもろい。0.2秒でなにかしらの反応を返すらしい。それを人間が見て、勝手に「こう思ってる」って解釈させるのが狙いらしい。
・人間の喉は作り的に欠陥品とも捉えられる。気管と食道が一緒だから誤嚥が起きちゃう。分ければいいのに、人間は「音(声)でコミュニケーションを取った結果得られた恩恵」が大きかったから、気管と食道を分けて、様々な発声ができるようにしてる……って予想が面白かった。コミュニケーションを求める生き物だから、ロボットも利便性ではなく「友人」としての方向性に進化していく。
ここらへんの話とても好きだった。
それと、死に対する捉え方が好きだった。
「偽物の命を子供に与えて情緒教育しても意味が無い(かなり意訳)」みたいな意見に対して、
「人生において死の喪失は避けられないのだから、ロボットくらいはそのルールから抜け出してもいいじゃん?」「命を尊び死に理由を見出し、死を乗り越えようとするのは単なる、大切な人を死を乗り越えた者による生存バイアス」「死を乗り越えたことに意味があってほしいと願っているだけで、悲しい思いなんてしないに越したことない」みたいな回答しててかなり良かった……。こんな乱暴な書き方じゃないです。
ロボットと生殖についてもチラッと書いてあった。それに繋げて、ロボットには人間が必要だし、ロ人間にはロボットが友達としても必要……みたいにまとめてあった。個人的にはロボットは自己修正してくようになると思うので、そんな人間は必要ないと思った。

