
もん
@_mom_n
2025年4月20日

二十四五
乗代雄介
読み終わった
心に残る一節
@ 図書館
夜勤明けのぼんやりした頭で読むには難しく、この作品の魅力を十分に理解できたと胸を張って言えるほどの自信はないけれど、忘れたくない一節に出会えるとそれだけで読めてよかったと思える。
p.65
気付くと目を閉じていた。目を開かなければ涙は流れないというバカげた思いつきを行動に移したのは、この時が初めてだった。私がもし本当に涙のあふれるような悲しみの只中にいるとして、あらかじめ目をつむり、感情の発露という誘惑に抗いその目を開けずにいれば、涙はこの薄ら狭い瞼の裏を満たしきり、鼻口に流れて言葉になろう。それを黙って飲みこむ時、手先の震えが文字になろう。