橋本吉央 "BUTTER" 2025年4月21日

橋本吉央
橋本吉央
@yoshichiha
2025年4月21日
BUTTER
BUTTER
柚木麻子
とてもボリューミー! 食という豊かな装飾を押し出しながら、ジェンダー、女性性・男性性という観点から、結婚詐欺の相手を死なせる犯罪とその周辺の登場人物の群像劇を描いているのだな、と最初は感じたのだが、より複層的に、父と子、自身の欲望、傷と回復みたいにいろんな話が出てくる。 よくこれだけのテーマを一つの物語の中で詰め込んだな、という感嘆。登場人物が多いので、自分や周囲の人物を誰かに投影するというようなこともあり得るのかもしれない。 一方で、連載作品だったからというのもあるかもしれないが、節ごとに描写のボリュームが非常に多く、やや情報量過多というか、読者に想像させる要素があまりない印象もあった。最後の、梶井が里佳に対してどういう気持ちと振る舞いをしたのか、果たして梶井が殺人をしていたのか、というあたりは明確に描写はされず、大きなストーリーとしては想像の余地を残す部分があった(それは良かったと思う)が、ひとつひとつ読み進める中では、細かい描写が詰め込まれてやや疲れる感じもあった。
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