
猫
@mao1012
2025年3月6日

夜に星を放つ
窪美澄
かつて読んだ
失うことの痛みがじんわりと本を通して伝わってくる短篇集。"失う"ということの全てが悲しくて辛いことじゃない。
どのお話も大変良かったが、個人的には『銀紙色のアンタレス』『真珠星スピカ』
が好みだった。
『銀紙色のアンタレス』では、夏の情景を脳裏に思い浮かべつつ、真のたえさんに向ける感情のもどかしさや、そこから来る夏特有の物悲しさを味わうことができた。
真はきっとこれからも、このことをひと夏の思い出として胸にしまいって成長していくのだろうなと考えると少しだけ胸の辺りがきゅっとなった。
『真珠星スピカ』は、亡くなってしまったお母さんが霊として現れる話。喪失の痛みを丁寧に描きつつ、かと言って重くなりすぎず、あたたかみのある物語だった。みちるが真珠のピアスをつけられるようになるのが待ち遠しい。


