橋本吉央 "苦手から始める作文教室" 2025年4月22日

橋本吉央
橋本吉央
@yoshichiha
2025年4月22日
苦手から始める作文教室
作家の文章論が好き。 津村記久子さんの小説は読んだことがなかったが、本書の文体のとにかく飾らない、フラットな感じが好き。おやつのうまい棒やプライベートブランドの話、みたいな超卑近な話をさらりとしたりとか、こうすべきである、という偉ぶった感じが全くない感じとか。文体について、ある人のものを真似ている、と本文中にあったが、誰のものなのか、気になるなあ。 「作文」に対してのスタンスも、ものすごくあっさり淡々としている。芥川賞作家が「書きたいとも思わない」とさらりと言ってのける、意外な感じ。純文学の作家は、何かを書くこと、物語を書くことへのオブセッションのようなものがあるのではと勝手に思っていたけれど、そうでもないのか。まあそれはそうか。 文章を書くことが内省とセルフマネジメント、自立につながるという考え方は良いなと思った。ジャーナリング的なオフロードではなく、自分自身を客観視するきっかけとしての文章。辛いことも、文章にする、自分の外側に出してみることで「まぬけ」化できてちょっと楽になる、という考え方。想定読者である若い人たちにも伝わると良いなと思った。 メモの取り方も、比較的スタンダードなものだと思うけれど、活躍している作家さんのやり方を知ることができるのは興味深かった。
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