
数奇
@suuqi
2025年4月22日

ミスター・ヴァーティゴ
ポール・オースター,
Paul Auster,
柴田元幸
読み終わった
少年が師匠の教えで空が飛べるようになるという、オースター作品としては珍しく童話的なあらすじのお話だが、内容はしっかりとオースター。人生における絶望と、そこから立ち上がる物語が描かれている。話が良い方向に進むたびに本当に辛い展開へと転落するのが何度も繰り返されるため、読んでいるときは正直かなりしんどかったが、心に残る作品だった。人生の「リアル」と「奇跡」を同居させた物語を作るのがオースターは本当に上手い。童話的でありながら、実際の事件や人物を交えたストーリーで実話のようなリアリティがある。それでいて、「空を飛ぶ」「地に足をつける」ということが人生の浮き沈みを暗喩しているような部分も面白い。


