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数奇
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@suuqi
海外文学 / SF
  • 2025年10月9日
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
    村上春樹が様々な雑誌に寄稿した旅行記をまとめた一冊。煽っているようなタイトルだけれどこれは村上春樹の言葉ではなく、ラオスに向かう途中で経由したベトナムで現地民に言われた言葉だそう。明らかに「そんなところに行ってどうするの?」というニュアンスで聞かれたらしく村上も返答に窮したとのことだが、「当たり前だけどラオスにはラオスにしかないものがあった。それを見つけるのが旅の面白さだ」というようなことが書いてあったのは印象深い。やはり文章が読みやすくて時折挟まれるジョークも面白く、どのエピソードも興味深く、とても良い旅行記だった。
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
  • 2025年10月5日
    遠い山なみの光〔新版〕
    遠い山なみの光〔新版〕
    昔読んだときは良さが分からず、今ならわかるかなーと再読したのだけどやっぱり難しい小説だった。しかし新版の三宅香帆さんによる解説がわかりやすすぎるほどわかりやすく、後から作品の良さが染みてくるように理解できた。解説にあるように「人は後悔を秘密にして生きる」という物語であり、主人公の後悔は徹底して直接語られず、回想の中に隠されている。一見して何も起きない話だが、各登場人物の対比を読み解いていくほど人物がとても深く描かれていることが理解できる。全編を通して会話が多い作品だが、全くキャッチボールになっていない会話が生々しすぎて、その描写力に圧倒される。そしてこの原文が日本語で書かれていないことが信じられないほど翻訳が素晴らしい。
    遠い山なみの光〔新版〕
  • 2025年9月28日
    くますけと一緒に
    「ぬいぐるみホラー」と作者自身も銘打っているが、ホラー要素よりも「毒親」的なテーマを35年近くも前の作品で扱い、それに対し明確に回答を与える物語になっている点が素晴らしいと感じた。両親の死に対してむしろ嬉しいと感じてしまう子供の精神的葛藤、罪悪感、大人に気を遣う描写が生々しすぎるほどリアルで、それらの問題を乗り越えた先にあるストーリーはとても読み応えがある。むしろホラー要素は蛇足に感じてしまい、エピローグなんかは無い方が個人的には好みだが、それだと作者の意向と異なる作品になってしまうので仕方ない。何にせよ「ホラー」として強く売り出すことには違和感が強いのだが、人の感想を見ていると人によってこの作品をどう感じるか異なるのも面白い。 作者のあとがきも、ぬいぐるみ愛が伝わってきてとても面白い。今でこそブームのぬいぐるみだが、当時は「ぬい撮り」なんてあり得なかっただろうし、本当に元祖のぬいぐるみ好きなのだなあとリスペクトした。
    くますけと一緒に
  • 2025年9月27日
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
    宇宙や星、ロケットにまつわるエモい短編が数多く収録されたブラッドベリのSF傑作短編集。表題作や「宇宙船」など、少年の純粋さや家族の絆などを描いた素敵なお話が多くジーンとくる。「ゴジラ」の元ネタになったという「霧笛」も切なくて印象的な話だった。一方で、「霜と炎」のような発想力が光る壮大なファンタジーもあれば、「駆けまわる夏の足音」のようなただ純粋にブラッドベリの詩的で情動的に表現力に驚かされる短編もあったりと、バリエーションが豊かで読み応えがある。
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
  • 2025年9月19日
    妻を帽子とまちがえた男
    妻を帽子とまちがえた男
    映画『レナードの朝』が好きなのでその原作者の本として気になっていた一冊。脳神経科医である著者が、患者のことをあえて「物語を語る」ような文体で記録したノンフィクション。正しくない表現かもしれないが、私にはこの本に書かれた患者たちがみなとても「美しい」と思えた。病気はあるときは障害になるかもしれないが、その病気によってわれわれには見えない世界が見えて、それらと向き合って生きていく姿はとてもたくましく、心を打たれる。名著とされる所以がよくわかった。
  • 2025年9月18日
    ユリイカ(2025 9(第57巻第11号)
    ユリイカ(2025 9(第57巻第11号)
    一冊まるまる、あらゐけいいち先生について書かれたとても読み応えがある特集ですべて読んだ。様々な分野の著名人が名を連ねるなか、著名人でも無いただのファンだという平山軽さんの文章がずば抜けて素晴らしく、彼の人生が見えるような名文に感動した。彼によるあらゐけいいち全作品解説も凄い。『日常』がいかに斬新な作品だったかを改めて実感し、アニメを見返したくなった。
  • 2025年9月14日
    遠い太鼓
    遠い太鼓
    村上春樹の紀行文をもっと読んでみたい
  • 2025年9月14日
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
    煽ってるようなタイトルで気になる
  • 2025年9月14日
    儚い羊たちの祝宴
    初めて読む米澤穂信作品。お屋敷に住むお嬢様たちによるミステリー短編が5つ収録され、5つとも「バベルの会」という読書会サークルが関わっているお話。シックな装丁と、高貴な語り口とは裏腹にかなりぶっ飛んだオチの話ばかりで、しかしそれが常識知らずなお嬢様たちだからこそのぶっ飛び方だと納得できるところが面白い。最初に『身内が不幸になりまして』という話から始めるのが上手く、この一編のせいでその後もずっと疑いを持って読み進めることを強制される中で、巧みなミスリードが配されている。ホラーな話が多いがぶっ飛んだオチ故にどこかクスッとしてしまうブラックユーモア的な痛快さも感じる。『北の館の罪人』『山荘秘聞』がお気に入り。
  • 2025年9月7日
    ナイフ投げ師
    ナイフ投げ師
    昔読んだ本だけど文庫が出たので再読。冒頭を飾る短編「ナイフ投げ師」から既に素晴らしく、「ある訪問」「夜の姉妹団」「月の光」など、現実と非現実の境目を曖昧にする、怪しさと美しさのある短編がとても良い。特に「空飛ぶ絨毯」は改めて素晴らしさに溜息が出る。小学生の暇を持て余した夏休みに、世界が広がっていく高揚感と恐怖の感覚を非現実の設定を交えながら美しく捉えた文章に唸らされる。しかし、後半の短編はどれも似たような手法で個人的には合わず。どれも不思議な建造物を論文調で語るものばかりで、確かに発想は面白いのだが飽きてしまい、流し読みしてしまった。初読時にも同じことを思ったのだろう、どおりで再読なのに後半の短編を覚えていないわけだ……。
  • 2025年8月30日
    小説集 筋肉少女帯小説化計画
    小説集 筋肉少女帯小説化計画
    周りの読書好きがみんな絶賛していて読みたい
  • 2025年8月30日
    火喰鳥を、喰う
    読書会で勧められて気になっている
  • 2025年8月29日
    法治の獣
    法治の獣
    3作の中編すべてとても面白かった。3編とも宇宙の奇妙な生命体に関するハードSFで、大胆な発想に対する緻密な設定、さらにストーリーテリングの面白さも加わってとても読み応えがある。特に表題作「法治の獣」が素晴らしく、知性を持たず生存本能だけで「法」を作り出す獣という設定だけでも面白いのに、その法を人間社会に適応させる国家と、そのなかで宗教や社会の問題が様々な思惑を生んでいく物語の作り方が上手すぎる。アイデアの凄さもさることながら、エモーショナルな物語性と文体こそこの作家の魅力だと感じる。
  • 2025年8月28日
    BRUTUS(ブルータス) 2025年 8月15日号 No.1036 [文芸ブルータス 2025夏] [雑誌]
    あらかた読みました。村上春樹の短編は新潮に掲載された『武蔵境のアリクイ』とつながっている話のようだった。村上春樹がルッキズムの話を描くのは興味深い。そのほかは女性作家の短編がどれも好みで、宇佐美りんや日比野コレコが好きだったが、ハン・ガン『白い花』は頭ひとつ抜けて素晴らしかった。
  • 2025年8月27日
    極夜行
    極夜行
    父に貸してもらって読んだ一冊。べらぼうに面白かった。グリーンランド北部で何ヶ月も太陽が上らない極夜を何ヶ月も冒険するノンフィクション。4年間もの準備期間を経て万全の状態で行った旅では何もかもが予定通りいかなかった。 前作『空白の五マイル』同様、「この本が刊行されてるってことは生還できたんだよね?」と思わされるほど、いつ死んでもおかしくない状態での冒険にずっとヒヤヒヤする。しかも今回はパートナーに犬がいるため、犬が生還できたかどうかは最後までわからず読んでいてずっと気が気でなかった。犬を食べることを現実的に視野に入れるほどの極限状態の旅。そもそも文章がとても上手くて読みやすく、続きが気になってスルスル読んだ。 冒険記を通して人生の意味を見出せるようなそんな一冊で、とても感動した。
    極夜行
  • 2025年8月20日
    カニムシ
    カニムシ
    電車で向かい側に座っていたおねーさんが読んでいてとても気になる……なんだこの生き物は……
  • 2025年8月17日
    密やかな結晶 新装版
    小川洋子好きなのに読んだことがないので読みたい
  • 2025年8月15日
    ゲームの王国 下
    面白すぎて夢中で読み終えた。上巻の時点で面白かったが、下巻からはそこから想像もつかないような展開をしていき、一体どんな頭をしていたらこんな小説が書けるんだと、その発想力に震えた。あとがきで筆者が述べているように、プロになる前に書きたいことをただ書いたというこの小説は確かに荒削りな部分もあり、消化不良な人物やエピソードもあるのだが、それが気にならないほどの熱量に満ちている。凄すぎる作品。あとがきも素晴らしくて作者のファンになってしまったので、他の作品も読まなければいけない。
  • 2025年8月15日
    最後の挨拶 His Last Bow
    弘前市が舞台の作品ということで弘前のれんが倉庫美術館に展示があって、気になる作品。シャーロック・ホームズの翻訳者を父に持つ主人公のお話という内容も興味深い。
  • 2025年8月12日
    たえまない光の足し算
    『ビューティフルからビューティフルへ』とはまた違う作風と文体に驚き、作者のワールドがより深化していると実感した。しかしその世界観に自分は最後までついて行くことができず、突き放された感覚を拭えなかったのは残念。特に軟派師・弘愛という人物をめぐるくだりは全く好きになれなかった。展開や台詞のひとつひとつが作者の中だけで完結しているようで全く納得感が得られず、それゆえに唯一無二の寓話的世界観を確立できているとも思うのだけれど、自分には合わなかった。
    たえまない光の足し算
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