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数奇
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@suuqi
海外文学 / SF
  • 2025年11月25日
    クララとお日さま
    クララとお日さま
    「AIが語り手」という小説を、信頼できない語り手の名手カズオ・イシグロが書いてつまらないわけがなく、やはり本当に素晴らしい作品だった。ロボットの少女・クララが病弱な女の子・ジョジーの家に買われていくというあらすじ自体は普遍的かもしれないけれど、AIの一人称視点で描かれる文章表現の緻密さは、この作家にしか到達できない領域の筆致だと思わされるほどだった。一切説明されない世界設定を登場人物たちの会話から読み解いていくとディストピアが垣間見えてくる点も、想像を膨らませられて面白い。2025年に読んだ本の中でもベスト級に良かった。
    クララとお日さま
  • 2025年11月17日
    ムーミン全集[新版]1 ムーミン谷の彗星
    自由すぎるキャラクターたちの破茶滅茶な話で面白かった。発表順的にはこれがムーミンの第一作にあたるらしいけれど、スニフってこんな主人公級のキャラクターだったのか。スニフは情けない奴だけど、子猫に対して誠実な気持ちを持っていたり憎めなくて愛おしいキャラだった。登場するモチーフや展開の発想がいちいち面白い(竹馬で海を渡るとか、すごい発想)だし、地球滅亡の危機にありながらどこかのんびりしているのも微笑ましい。 イラストは言わずもがな素晴らしく、楽しい一冊でした。
    ムーミン全集[新版]1 ムーミン谷の彗星
  • 2025年11月16日
    はてしない物語
    はてしない物語
    本の中に入り込むまでの展開が面白すぎて夢中で読んだのだけれど、その後に主人公・バスチアンが嫌な奴になっていく展開が辛くて、最終的にもあまりバスチアンの反省を感じられなかった点は残念…。アトレーユ寛大すぎる…。 個人的には『モモ』を読んだときほど刺さらなかったけれど、個々のシーンやキャラクターはとても印象的だし、後半に出てくるモチーフはどれも人生の何かに置き換えられそうで、読み返すたびに新たな気づきがありそう。バスチアンが最後の記憶と引き換えに望むものと、忘れられた夢が堆積する場所で一枚の絵を探すシーンがとても好きで、終盤の展開は素晴らしかった。子供のときに読んでいたらかけがえのない一冊になったのだろうな。
    はてしない物語
  • 2025年11月14日
    言語化するための小説思考
    「小説の書き方指南書」ではなく、「小川哲の脳内ってこうなってるのか〜」という点を楽しめる一冊。「小説とは何か?」を小川哲なりに噛み砕く内容になっていて、小説を書かない自分にとっても面白く読むことができた。創作をする者としても共感できたりできなかったりする部分があって、自分の考え方と向き合うよい機会にもなった。巻末に収録された書き下ろし短編も「小説を推敲する」話になっているので実践例として読むことができる。しかし小川哲ってひねくれた作家だな〜と思う。そこが魅力的であり好感が持てると改めて実感した。
    言語化するための小説思考
  • 2025年11月13日
    ストーカー
    ストーカー
    様々な作品の元ネタになっている古典だけれど今読んでも面白かった。「ゾーン」と呼ばれる異星人の痕跡から遺物をハントする「ストーカー」たちの話で、人間の理解が及ばないヤバい現象の描写にゾクゾクする。<来訪>と呼ばれる遺物たちの通称やストーカーたちの通り名もいちいち面白い。ゾーンが何なのか、異星人たちは何者で目的が何かも説明されず終わるけれど、その「人間がただただ未知のものに振り回されている」状況の絶望感と、その中での逞しさが描かれていて、SFとしてはかなり異質だけれどそれが魅力的だった。ラストが唐突に訪れるが、この終わり方もまた良い。
    ストーカー
  • 2025年11月2日
    息吹
    息吹
    「もし自分たちの世界もこうだったらどうするか」と考えさせられる、SFならではの面白さに満ちた短編集だった。 「商人と錬金術師の門」「息吹」「偽りのない事実、偽りのない気持ち」が特に好き。そしてラストの「不安は自由のめまい」は震えるほど素晴らしかった。分岐が発生しないタイムトラベルものの短編から始まって、最後は分岐が発生するパラレルワールドものの短編に終わるのは作者のアイデアの幅広さを物語っていて凄い。 『あなたの人生の物語』同様、本当に世界ってこうなってるのか?と思わされるほどリアルすぎる科学描写によって物語に没入させられた。
    息吹
  • 2025年10月20日
    密やかな結晶 新装版
    「消滅」というスペキュレイティブな設定があまりピンとこなくて個人的に最後までハマりきれなかった。記憶の消滅はあくまで舞台装置として、その中で生きる主人公とR氏の感情の機微を読む作品だというのは分かるのだけれど、どうしても設定のルールが曖昧すぎることが気になってしまう(カレンダーが消えたら春という季節ごと消えるのに他の物質は存在し続けたり、よくわからない)。剥奪に抗う物語であることや、消えずに残り続ける人間の感情というテーマは良くて、主人公が書く作中作の小説や、ラストシーンの儚さは美しくて好きだった。
    密やかな結晶 新装版
  • 2025年10月18日
    まぶしい便り
    まぶしい便り
    とても素晴らしくて涙が溢れた。1960〜70年代に行われた、韓国からドイツへ看護師を派遣する制度をモチーフに扱った物語で、ドイツに渡って強く生きた女性たちを回想しながら、その子供たちの世代を主人公として描かれる。ドイツという言葉も通じない地域で生きる異邦人としてのアイデンティティや、家族との死別といった重たいテーマを描きながらも、同じ境遇にいる人物たちの深い絆が描かれ、登場人物たちが皆とても愛おしい。時代や世代を超えた優しさや美しさに満ちた物語にとても感動した。こういう出会いがあるから読書をやめられないと思わされるほどに。
    まぶしい便り
  • 2025年10月12日
    まぶしい便り
    まぶしい便り
    福岡旅行をして、出版社がやっているブックカフェで購入した本。直感で購入したけど、途中まで読んだ段階で既に素晴らしい。
    まぶしい便り
  • 2025年10月9日
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
    村上春樹が様々な雑誌に寄稿した旅行記をまとめた一冊。煽っているようなタイトルだけれどこれは村上春樹の言葉ではなく、ラオスに向かう途中で経由したベトナムで現地民に言われた言葉だそう。明らかに「そんなところに行ってどうするの?」というニュアンスで聞かれたらしく村上も返答に窮したとのことだが、「当たり前だけどラオスにはラオスにしかないものがあった。それを見つけるのが旅の面白さだ」というようなことが書いてあったのは印象深い。やはり文章が読みやすくて時折挟まれるジョークも面白く、どのエピソードも興味深く、とても良い旅行記だった。
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
  • 2025年10月5日
    遠い山なみの光〔新版〕
    遠い山なみの光〔新版〕
    昔読んだときは良さが分からず、今ならわかるかなーと再読したのだけどやっぱり難しい小説だった。しかし新版の三宅香帆さんによる解説がわかりやすすぎるほどわかりやすく、後から作品の良さが染みてくるように理解できた。解説にあるように「人は後悔を秘密にして生きる」という物語であり、主人公の後悔は徹底して直接語られず、回想の中に隠されている。一見して何も起きない話だが、各登場人物の対比を読み解いていくほど人物がとても深く描かれていることが理解できる。全編を通して会話が多い作品だが、全くキャッチボールになっていない会話が生々しすぎて、その描写力に圧倒される。そしてこの原文が日本語で書かれていないことが信じられないほど翻訳が素晴らしい。
    遠い山なみの光〔新版〕
  • 2025年9月28日
    くますけと一緒に
    「ぬいぐるみホラー」と作者自身も銘打っているが、ホラー要素よりも「毒親」的なテーマを35年近くも前の作品で扱い、それに対し明確に回答を与える物語になっている点が素晴らしいと感じた。両親の死に対してむしろ嬉しいと感じてしまう子供の精神的葛藤、罪悪感、大人に気を遣う描写が生々しすぎるほどリアルで、それらの問題を乗り越えた先にあるストーリーはとても読み応えがある。むしろホラー要素は蛇足に感じてしまい、エピローグなんかは無い方が個人的には好みだが、それだと作者の意向と異なる作品になってしまうので仕方ない。何にせよ「ホラー」として強く売り出すことには違和感が強いのだが、人の感想を見ていると人によってこの作品をどう感じるか異なるのも面白い。 作者のあとがきも、ぬいぐるみ愛が伝わってきてとても面白い。今でこそブームのぬいぐるみだが、当時は「ぬい撮り」なんてあり得なかっただろうし、本当に元祖のぬいぐるみ好きなのだなあとリスペクトした。
    くますけと一緒に
  • 2025年9月27日
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
    宇宙や星、ロケットにまつわるエモい短編が数多く収録されたブラッドベリのSF傑作短編集。表題作や「宇宙船」など、少年の純粋さや家族の絆などを描いた素敵なお話が多くジーンとくる。「ゴジラ」の元ネタになったという「霧笛」も切なくて印象的な話だった。一方で、「霜と炎」のような発想力が光る壮大なファンタジーもあれば、「駆けまわる夏の足音」のようなただ純粋にブラッドベリの詩的で情動的に表現力に驚かされる短編もあったりと、バリエーションが豊かで読み応えがある。
    ウは宇宙船のウ【新訳版】
  • 2025年9月19日
    妻を帽子とまちがえた男
    妻を帽子とまちがえた男
    映画『レナードの朝』が好きなのでその原作者の本として気になっていた一冊。脳神経科医である著者が、患者のことをあえて「物語を語る」ような文体で記録したノンフィクション。正しくない表現かもしれないが、私にはこの本に書かれた患者たちがみなとても「美しい」と思えた。病気はあるときは障害になるかもしれないが、その病気によってわれわれには見えない世界が見えて、それらと向き合って生きていく姿はとてもたくましく、心を打たれる。名著とされる所以がよくわかった。
  • 2025年9月18日
    ユリイカ(2025 9(第57巻第11号)
    ユリイカ(2025 9(第57巻第11号)
    一冊まるまる、あらゐけいいち先生について書かれたとても読み応えがある特集ですべて読んだ。様々な分野の著名人が名を連ねるなか、著名人でも無いただのファンだという平山軽さんの文章がずば抜けて素晴らしく、彼の人生が見えるような名文に感動した。彼によるあらゐけいいち全作品解説も凄い。『日常』がいかに斬新な作品だったかを改めて実感し、アニメを見返したくなった。
  • 2025年9月14日
    遠い太鼓
    遠い太鼓
    村上春樹の紀行文をもっと読んでみたい
  • 2025年9月14日
    ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
    煽ってるようなタイトルで気になる
  • 2025年9月14日
    儚い羊たちの祝宴
    初めて読む米澤穂信作品。お屋敷に住むお嬢様たちによるミステリー短編が5つ収録され、5つとも「バベルの会」という読書会サークルが関わっているお話。シックな装丁と、高貴な語り口とは裏腹にかなりぶっ飛んだオチの話ばかりで、しかしそれが常識知らずなお嬢様たちだからこそのぶっ飛び方だと納得できるところが面白い。最初に『身内が不幸になりまして』という話から始めるのが上手く、この一編のせいでその後もずっと疑いを持って読み進めることを強制される中で、巧みなミスリードが配されている。ホラーな話が多いがぶっ飛んだオチ故にどこかクスッとしてしまうブラックユーモア的な痛快さも感じる。『北の館の罪人』『山荘秘聞』がお気に入り。
  • 2025年9月7日
    ナイフ投げ師
    ナイフ投げ師
    昔読んだ本だけど文庫が出たので再読。冒頭を飾る短編「ナイフ投げ師」から既に素晴らしく、「ある訪問」「夜の姉妹団」「月の光」など、現実と非現実の境目を曖昧にする、怪しさと美しさのある短編がとても良い。特に「空飛ぶ絨毯」は改めて素晴らしさに溜息が出る。小学生の暇を持て余した夏休みに、世界が広がっていく高揚感と恐怖の感覚を非現実の設定を交えながら美しく捉えた文章に唸らされる。しかし、後半の短編はどれも似たような手法で個人的には合わず。どれも不思議な建造物を論文調で語るものばかりで、確かに発想は面白いのだが飽きてしまい、流し読みしてしまった。初読時にも同じことを思ったのだろう、どおりで再読なのに後半の短編を覚えていないわけだ……。
  • 2025年8月30日
    小説集 筋肉少女帯小説化計画
    小説集 筋肉少女帯小説化計画
    周りの読書好きがみんな絶賛していて読みたい
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