

数奇
@suuqi
ぬいぐるみたちとカメと暮らしています
- 2026年9月30日
アクロイドを殺したのは誰かピエール・バイヤール,大浦康介読み終わったクリスティの『アクロイド殺し』発表から100周年記念に絶版だった本が文庫化。読みたかったからありがたい〜! 有名な『アクロイド殺し』の真犯人は別の人物なのでは?という批評本なのだけど……これ「多重解決ミステリ」じゃん!!この本自体が推理小説の様相をしていて、真犯人の名を挙げる場面は読んでて興奮しすぎてニヤニヤしちゃった。 いかにクリスティの「騙し」のテクニックが秀逸であるかを深い作品理解と洞察により論じた上でポアロの推理にメスを入れるので納得性も高く、やはり名著……!超面白い「ミステリ」でした。 ただ『終りなき夜に生れつく』と『カーテン』のがっつりネタバレがあるので読まれる際は注意……(他の作品もネタバレはあるけどサラッと触れる程度なので読み終わったあと忘れそう。上記2作は章立てしてかなり詳細にネタバレを解説してます)
- 2026年9月27日
- 2026年9月23日
2001年宇宙の旅決定版アーサー・チャールズ・クラーク,伊藤典夫読み終わった最近映画を観たので小説も読んだ。映画では説明されていなかった部分が書き込まれていて理解しやすくなっているが、理解力の低い自分には小難しいSF描写に目が滑ってしまい、かえって映画の「考えるな 感じろ」的な表現方法の方が好きだった。映画版の方が映像として没入感や壮大さなどを直感的に感じられたし、HALの不気味さも小説になるとやや薄く感じてしまった。しかしラストシーンは、上位存在との邂逅に様々な想像を膨らませるボーマンの思考、たどり着いた場所の細かな描写など映画では味わえない部分があって読み応えがあり、ラストは小説版の方が好みだったかもしれない。 - 2026年9月22日
ほんとうのことを書く練習土門蘭読み終わった@ カフェ私は物書きではないけれど、自分と向き合うためのヒントが多く書かれていて、とても心を動かされた。この本自体が著者の本当の気持ちに溢れているからこそとても誠実で、良い言葉を大量にメモに残した。 私は他人からどう思われるかをいつも気にして自分を取り繕ってばかりいて、自分の本心がわからない、ジャーナリングのような行為も自分の醜さが表出しそうで怖いと思っていたのだけれど、この本を読んで「自分と対話」することの大切さを感じられたので、誰にも読まれない日記を自分もつけようと思った。
- 2026年9月20日
- 2026年9月17日
会話の0.2秒を言語学する水野太貴読み終わった人間の会話は実はかなり高度な情報処理が行われているという切り口から、言語学に関する面白い話をたくさん紹介してくれる本。著者自身が認めているように難しすぎる部分は割愛されていて言語学の入り口になるような話が多く、「何故なのか?」という部分にはあまり触れられていない(触れようとすると紙幅が足りない)のだけれど、「確かに面白いな」と思える話ばかりだったし、著者の真面目さに好感を持てる本だった。 - 2026年9月16日
自転車泥棒呉明益,天野健太郎読み終わった同著者の『複眼人』が好きだったのでこちらも読んでみたが、マジックリアリズム的な『複眼人』とはまた異なり、台湾の様々な歴史を背負った人たちの人生が描かれた作品だった。失踪した父が乗っていた自転車の行方を追ううちに様々な人と出会い、その人たちの過去を知って行く。人生の取り返しのつかなさを思わずにいられないほど胸が詰まる話が多く、特に戦争のため処分される動物たちの話はとても悲しかったが、後記にもあるように、ただペダルを漕ぎ続けて行けばよいのだという希望もどこかに感じられ、ラストシーンはとても美しいと思った。 - 2026年9月14日
そいつはほんとに敵なのか碇雪恵読み終わった素晴らしい本でした。まず前書きの「繊細ヤクザ」という言葉が好きすぎた。少しでも自分が蔑ろにされていると感じると敵だと見なしてしまう感覚、とてもわかる。なぜ敵を作ってしまうのか、模索している段階ながらも真剣に考えようとする本。参政党支持者との対談は特に読み応えがあった。また、本の中で「自己開示のバランス」について触れられているが、作者が恋人との関係などパーソナルな内容を書いていてまさにこの本こそ自己開示のバランスが上手く、作者により親近感を持って読むことができた。 相容れない相手を姿も知らないうちに「悪魔化」してしまう社会で、「違うところを探すより同じところを探すほうが楽しい」という考え方は大事にしていきたい。
- 2026年9月6日
- 2026年9月2日
クラインの壷 (講談社文庫)岡嶋二人読み終わった1989年にダイブ型のVRゲームを題材にした作品が書かれていることがまず驚き。技術的な描写にもある程度の説得力があり、今読んでも設定の古さを感じさせない。それでいて純粋に展開が面白く、SFでありミステリでありサスペンスでもあるストーリーに夢中にさせられた。映画『インセプション』を思い出させる内容。 やや説明不足を感じる部分があったり、トリックやオチは現代においては予想がつく範囲内だったりしたものの、読者に考える余地を与えるラストはとても好きだった。
- 2026年9月1日
- 2026年8月29日
楽園夕木春央前二作を読んでいるので「あなたなの?」と疑いの目を持ちながら読める体験も面白かったし、『十戒』より好きだった。いろんな状況設定に無理がありすぎるだろ〜と思うところはありつつも読ませる内容、不審な謎が次々出てくる展開で続きが気になって仕方がない。真相もややモヤる部分はあったのだけれど、全体通して心情描写が良く、罪への葛藤が物語を動かしていくのが良かった。後味の悪さもさすがで、楽しい読書でした。
- 2026年8月24日
その女アレックスピエール・ルメートル,橘明美読み終わったピエール・ルメートルは『死のドレスを花婿に』が好きで、有名なこちらも読んでみたかった。これはさすがの面白さだった!誘拐された女の行方を追うというあらすじから、まさかこんな展開になるなんてと予想外すぎる進行に常に驚き続ける。わかりやすい大ネタ・どんでん返しがあるタイプではなく、怒涛の展開によるストーリーテリングのクオリティが純粋に高くて面白いミステリー小説で、世間的な評価にも納得の一冊でした。
- 2026年8月23日
ナショナル・ストーリー・プロジェクト 2ポール・オースター,柴田元幸読み終わったオースターがラジオで選んだ実話の数々。②では「戦争」「愛」「死」「夢」などをテーマにまとめられていて凄惨な話から心温まる話まで様々で、たった2,3ページのエピソードに人生が詰まりすぎている。奇跡的な話が多い中、最後の「瞑想」の章はオチもなく何も起こらない話がまとめられていて、これもまた印象深い。特に『海辺』という話はちょっと凄かった。名著です。
- 2026年8月16日
夏のヴィラ (韓国女性文学シリーズ)ペク・スリン,カン・バンファ読み終わった同著者の『まぶしい便り』が去年のベスト級に好きだったので過去作も読みたいと思って買い、夏が来たら読もうと積んでいた短編集。一編目を読み終えた時点で「良すぎ……」とため息が漏れてしまう。『まぶしい便り』同様に、韓国とヨーロッパという二つの地での異なる文化の中で苦悩する話が多く、繊細すぎる感情表現によって「人生」そのものが詰め込まれている。美しい表現の中に、人間のがむしゃらさ、醜さ、不器用さ、愛おしさが溢れている。著者あとがきからも人間の不器用さに対する愛が感じられて、この作家をますます好きになってしまった。
- 2026年8月15日
ハウスメイドフリーダ・マクファデン,高橋知子読み終わった家政婦が雇われた家はとんでもない場所だった、というスリラー小説で、ある程度予想できる展開ではあるものの、3部構成の見せ方が上手くページをめくる手が止められなくなる。終盤は想像を超える展開にワクワクさせられたし、オチも好き。雇い主にいじめられるシーンなどは読んでいて辛かったけれど、スリリングな展開が面白く、サラッと読めて楽しい一冊だった。ルメートルの『死のドレスを花婿に』や、映画『ゴーン・ガール』のような面白さを味わえる作品。
- 2026年8月14日
トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモローガブリエル・ゼヴィン,池田真紀子読み終わった読んでいる途中は登場人物たちを誰も好きになれず辛かったが、読み終わってみるとその不器用さが愛おしく思えてくる小説だった。ゲーム制作を通じて深まる、男女の関係を超えた絆が描かれ、実在のゲームも多く登場するなか、業界の実情とクリエイティビティの間で起こる苦悩もリアルでとにかく読みやすい。しかしあまりにも身勝手すぎるキャラクターたちや、誰と誰が付き合っただのセックスしただのの話、いがみ合いが延々と続くのは辟易した。ストーリー展開も、主要な人物の死や、アバター同士で本心を言い合う場面などは少し安易にも感じてしまって、リーダビリティ以上の感動は無かった。しかし最後には、不器用すぎる人物たちの愛の物語として爽やかな読後感と寂しさを残してくれる作品だったと思う。 - 2026年8月12日
縄文力相馬皓介読み終わった週末に縄文時代の生活をするYouTuberによる著書。自分はこの人を知らなかったが、そのYouTubeをよく見ているという父に借りて読んだ。ちょうど三内丸山遺跡に観光に行ったこともあって、縄文時代の生活を実践するという取り組みを興味深く読むことができた。いかに自分たちの周りが便利な道具に溢れているかを実感させられる。特に「粘土」という物質が、気が遠くなる時間をかけて生まれ、それをまた加工するようになるという流れにはロマンがある。一万三千年も続いた縄文時代の中での生きる工夫にはまだまだ未解明のものもあって面白い。 弓矢を作る章では「この作り方を真似して弓矢を人に向ける奴が現れないか心配」と書いていたが、あまりの大変さに「誰も真似しないよ……」と思ったりもした。 - 2026年8月11日
僕には鳥の言葉がわかる鈴木俊貴読み終わった話題になってる本だな〜くらいの認識だったけれど想像以上にヤバい内容でむちゃくちゃ面白かった!動物の鳴き声は感情表現に過ぎず、言語を持つのは人間だけという二千年以上にわたる誤解を正す革命的研究で、いかに凄いことを成し遂げたかがわかり衝撃と共に感動した。特別な機材を使わない貧乏研究が世界に認められ歴史的偉業になっていくのもドラマ的。仮説をどうやって証明するかの発想力にも感心させられる。今後もこの研究を追いかけたいと思うほどワクワクした。
- 2026年8月10日
自生の夢飛浩隆読み終わった同著者の『グラン・ヴァカンス』を読んだときにも感じたが、グロテスクな造形物の美を描こうとする作家なのだなと感じる。難解ながらも映像的な描写をイメージする楽しさが随所にあった。「言語」や「音」を世界そのものを構築する信号・情報として捉えた短編が連なり、一部は連作となっていて、その発想力、熱量、密度は凄まじい。しかし難解すぎて「凄く面白いことを描いているのはわかるが肝心なところでついていけない」というもどかしさも感じ、最終的に到達するエモい部分は享受できず、作品の一番美味しい部分は味わえない残念さもあった。理解できないまま盛り上がっていくので置いていかれた感が強い。その点、独立した短編『星窓 remixed version』『はるかな響き』はまだわかりやすくて好みだった。特に後者の「さみしさの本質は方角と距離」というアイデアには興奮させられた。
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