

数奇
@suuqi
ぬいぐるみたちとカメと暮らしています
- 2026年8月24日
その女アレックスピエール・ルメートル,橘明美読み終わったピエール・ルメートルは『死のドレスを花婿に』が好きで、有名なこちらも読んでみたかった。これはさすがの面白さだった!誘拐された女の行方を追うというあらすじから、まさかこんな展開になるなんてと予想外すぎる進行に常に驚き続ける。わかりやすい大ネタ・どんでん返しがあるタイプではなく、怒涛の展開によるストーリーテリングのクオリティが純粋に高くて面白いミステリー小説で、世間的な評価にも納得の一冊でした。
- 2026年8月23日
ナショナル・ストーリー・プロジェクト 2ポール・オースター,柴田元幸読み終わったオースターがラジオで選んだ実話の数々。②では「戦争」「愛」「死」「夢」などをテーマにまとめられていて凄惨な話から心温まる話まで様々で、たった2,3ページのエピソードに人生が詰まりすぎている。奇跡的な話が多い中、最後の「瞑想」の章はオチもなく何も起こらない話がまとめられていて、これもまた印象深い。特に『海辺』という話はちょっと凄かった。名著です。
- 2026年8月16日
夏のヴィラ (韓国女性文学シリーズ)ペク・スリン,カン・バンファ読み終わった同著者の『まぶしい便り』が去年のベスト級に好きだったので過去作も読みたいと思って買い、夏が来たら読もうと積んでいた短編集。一編目を読み終えた時点で「良すぎ……」とため息が漏れてしまう。『まぶしい便り』同様に、韓国とヨーロッパという二つの地での異なる文化の中で苦悩する話が多く、繊細すぎる感情表現によって「人生」そのものが詰め込まれている。美しい表現の中に、人間のがむしゃらさ、醜さ、不器用さ、愛おしさが溢れている。著者あとがきからも人間の不器用さに対する愛が感じられて、この作家をますます好きになってしまった。
- 2026年8月15日
ハウスメイドフリーダ・マクファデン,高橋知子読み終わった家政婦が雇われた家はとんでもない場所だった、というスリラー小説で、ある程度予想できる展開ではあるものの、3部構成の見せ方が上手くページをめくる手が止められなくなる。終盤は想像を超える展開にワクワクさせられたし、オチも好き。雇い主にいじめられるシーンなどは読んでいて辛かったけれど、スリリングな展開が面白く、サラッと読めて楽しい一冊だった。ルメートルの『死のドレスを花婿に』や、映画『ゴーン・ガール』のような面白さを味わえる作品。
- 2026年8月14日
トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモローガブリエル・ゼヴィン,池田真紀子読み終わった読んでいる途中は登場人物たちを誰も好きになれず辛かったが、読み終わってみるとその不器用さが愛おしく思えてくる小説だった。ゲーム制作を通じて深まる、男女の関係を超えた絆が描かれ、実在のゲームも多く登場するなか、業界の実情とクリエイティビティの間で起こる苦悩もリアルでとにかく読みやすい。しかしあまりにも身勝手すぎるキャラクターたちや、誰と誰が付き合っただのセックスしただのの話、いがみ合いが延々と続くのは辟易した。ストーリー展開も、主要な人物の死や、アバター同士で本心を言い合う場面などは少し安易にも感じてしまって、リーダビリティ以上の感動は無かった。しかし最後には、不器用すぎる人物たちの愛の物語として爽やかな読後感と寂しさを残してくれる作品だったと思う。 - 2026年8月12日
縄文力相馬皓介読み終わった週末に縄文時代の生活をするYouTuberによる著書。自分はこの人を知らなかったが、そのYouTubeをよく見ているという父に借りて読んだ。ちょうど三内丸山遺跡に観光に行ったこともあって、縄文時代の生活を実践するという取り組みを興味深く読むことができた。いかに自分たちの周りが便利な道具に溢れているかを実感させられる。特に「粘土」という物質が、気が遠くなる時間をかけて生まれ、それをまた加工するようになるという流れにはロマンがある。一万三千年も続いた縄文時代の中での生きる工夫にはまだまだ未解明のものもあって面白い。 弓矢を作る章では「この作り方を真似して弓矢を人に向ける奴が現れないか心配」と書いていたが、あまりの大変さに「誰も真似しないよ……」と思ったりもした。 - 2026年8月11日
僕には鳥の言葉がわかる鈴木俊貴読み終わった話題になってる本だな〜くらいの認識だったけれど想像以上にヤバい内容でむちゃくちゃ面白かった!動物の鳴き声は感情表現に過ぎず、言語を持つのは人間だけという二千年以上にわたる誤解を正す革命的研究で、いかに凄いことを成し遂げたかがわかり衝撃と共に感動した。特別な機材を使わない貧乏研究が世界に認められ歴史的偉業になっていくのもドラマ的。仮説をどうやって証明するかの発想力にも感心させられる。今後もこの研究を追いかけたいと思うほどワクワクした。
- 2026年8月10日
自生の夢飛浩隆読み終わった同著者の『グラン・ヴァカンス』を読んだときにも感じたが、グロテスクな造形物の美を描こうとする作家なのだなと感じる。難解ながらも映像的な描写をイメージする楽しさが随所にあった。「言語」や「音」を世界そのものを構築する信号・情報として捉えた短編が連なり、一部は連作となっていて、その発想力、熱量、密度は凄まじい。しかし難解すぎて「凄く面白いことを描いているのはわかるが肝心なところでついていけない」というもどかしさも感じ、最終的に到達するエモい部分は享受できず、作品の一番美味しい部分は味わえない残念さもあった。理解できないまま盛り上がっていくので置いていかれた感が強い。その点、独立した短編『星窓 remixed version』『はるかな響き』はまだわかりやすくて好みだった。特に後者の「さみしさの本質は方角と距離」というアイデアには興奮させられた。 - 2026年8月6日
サバイバル家族服部文祥読み終わった登山家・服部文祥さんの家族エッセイ。「生」の実感のために狩猟した肉を食べ、クーラーをつけず、庭でウンコする。しかしそういった価値観を子どもたちに押し付けず、あくまで子どもの考えを尊重する優しさも垣間見える。また、人間らしい俗っぽい欲求も正直に書いてしまうところに親近感も得られる。この本だけを読むと妻の小雪さんが可哀想にも思えるが、小雪さんのエッセイも合わせて読んだので、彼女なりにこの生き方に向き合っていく様子がわかって面白い。 - 2026年8月2日
騎士団長殺し村上春樹読み終わった4冊目にしてやっと物語が大きく動くが、結局のところ物事はハッキリとせず様々な謎を残したまま終わる。しかしそれもまたこの作品の魅力だと感じさせる印象的な作品だった。暗い穴の中を進むくだりは『世界の終り〜』を、秋川まりえを取り戻すくだりは『スプートニクの恋人』を思い出させた(不倫関係が解消するところまで含めて)。様々な過去の村上作品で描かれた事象が再構築され、より深いテーマを描こうとした小説だとも感じる。免色という人物はどこかギャツビーを感じさせるところもある。村上春樹100%の小説だった。 - 2026年7月29日
騎士団長殺し村上春樹読み終わった南京虐殺の話が登場し、『ねじまき鳥クロニクル』を思い出した。夢の中に責任が生じるということ、「血は流されなくてはならない」という台詞など、『海辺のカフカ』で描かれたテーマにも触れられていく。3冊かかっても話は動かず、最後にようやく事件が起こり始めるが、読んでいて退屈には感じない不思議な魅力がある。現時点では村上春樹らしいテーマの種が丁寧に蒔かれているという印象で、この小説がどんな作品なのか未だに見えてこないが、最終巻でどのように話が閉じられるのか楽しみ。 - 2026年7月28日
消滅世界村田沙耶香読み終わった子供は人工授精して作るもの、夫婦間の性行為は近親相姦と見なされるようになった世界で、恋愛やセックスというものがどんどん消えていく。その中で恋や性欲のありかを探す物語としてとても面白く読んでいたのだけれど、第三章から詳しく描かれる「楽園システム」という設定が急に飛躍した感じがあり、終盤を楽しむことができなかった。第二章までは価値観が少しずつ変わり始めている「途中」の描き方がうまくて、特殊設定の中に様々な価値観の人が出てくるリアルさが素晴らしかっただけに、最後は普通のディストピア小説になってしまったように感じた。しかし「第三章を読むと第二章までの世界観を普通に受け入れてしまう構造になっている」という人の感想を聞いて、確かにこの対比構造は面白いなと目から鱗だった。第三章を極端に飛躍させるからこそ、第二章まででも十分に違和感があった世界が許容できてしまう。人によって様々な感想がありそうな、良い作品だった。 - 2026年7月26日
- 2026年7月23日
騎士団長殺し村上春樹読み終わった文庫で全4冊の長編なのにあっという間に折り返し。スラスラと読ませる文章はさすがの村上春樹。全体的に、水面下で不気味な歪みが常に漂っている(が、大きな事件は起きない)状況が淡々と続く不穏さはとても好み。ここからどう展開するのか楽しみ。 - 2026年7月19日
はっとりさんちの野性な毎日服部小雪読み終わった登山家・服部文祥さんの妻でありイラストレーターの服部小雪さんのエッセイ。鶏を育てて狩猟した肉を食べる野生的な生活が描かれる一方で、良い意味で普遍的な家族の日常や子供の成長が描かれた微笑ましいエッセイだと感じた。少ないページ数に長い年月が収められているので、子供が生まれた頃から、「命」を食べて育っていく子供たち、その自立までが記録された内容には純粋に「家族っていいなぁ」という気持ちにさせられる。危険な冒険にいく夫が心配でたまらないのに、冒険からかえってくる光景を世界で一番美しい姿だと形容したり、動物を殺すことに抵抗がありながら命をいただくことと真剣に向き合ったり、著者の素敵な視点が胸を打つ、とても良い本だった。 - 2026年7月19日
騎士団長殺し村上春樹読み終わった本当は『夏帆』より先に読みたかったが結局今になって読んだ。村上春樹では唯一未読の長編。第1巻ではまだ話が動き始めたばかりというところだが既に濃すぎるほどの村上春樹ワールド。相変わらず読ませる文章で続きが楽しみ。 - 2026年7月17日
裸の大地 第二部 犬橇事始角幡唯介読み終わった冒険家・角幡唯介さんがグリーンランド最北端のシオラパルクで犬橇に挑戦する体験記。『極夜行』にも登場した犬・ウヤミリックを始め10頭もの犬に翻弄される様子がおかしくもあり、それでいて命を賭けた冒険の魅力も詰まった名著だった。コロナ禍による打撃と冒険の結末はとても悲しいものだったが、「本当の自由とは自然に取り込まれることだ」という新たな冒険の気づきにハッとさせられる。相変わらず文章が上手すぎて、この景色を体験した人間にしか書けない言葉に溢れていた。今後の活動もずっと応援したい。
- 2026年7月11日
コンビニ人間村田沙耶香読み終わったなぜ結婚しないのか、なぜいい歳してアルバイトなのか、といった「普通」への同調圧力を描いた作品は他にも数多くあるけれど、この小説では主人公が「普通」を理解できなさすぎて世間からの攻撃のダメージが通らないという構造の痛快さがあって面白い。現実にそんな奴いないだろうというクズすぎる男が出てきたり世間の反応がデフォルメされすぎていたりする点も、普段なら過敏に気にしてしまうのだけれど、この小説では独特のコミカルな魅力として取り込まれていたように思う。バッドエンドなのかハッピーエンドなのか、読者に受け取り方を委ねるラストも好きだった。
- 2026年7月11日
- 2026年7月11日
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