

数奇
@suuqi
海外文学 / SF
- 2025年5月24日ヴァイオリン職人の探求と推理ポール・アダム,青木悦子読み終わったオノ・ナツメによるカバー版を読了。幻のヴァイオリンを巡って起こる殺人事件というミステリーでありつつ、徹頭徹尾ヴァイオリンという楽器に良くも悪くも魅せられた人たちの話に終始しているのが面白かった。お金の話や贋作の話など汚い話題もリアルに描いているからこそ、楽器の、音楽の美しさが際立つ作品になっていたと思う。 推理パートでは様々な土地を渡り歩き、イタリアはじめヨーロッパ諸国の街並みを感じられる描写もまた旅行記のような楽しみ方ができてよい。推理としてはかなり都合よく話が進んでいく感がありやや平坦で退屈にも思ったが、犯人が誰かよりも、「音楽」の正しいありかを探す物語になっているのはとても良かった。
- 2025年5月23日プロジェクト・ヘイル・メアリー 下アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わったよい、よい、よい!一体どんな結末を迎えるのかハラハラしながら読んでいたが、まさかこんな展開になるとは。意外でありつつも最後まで読者が望む展開を見せてくれた、バディものとして最高の結末だと感じる。 上巻のワクワクした展開に比べると下巻からは少し中だるみも感じてしまって、特に過去パートに面白さをあまり見出せなかった(ストラットのやり方にも納得がいっていない)のだが、ロッキーとの共闘がやはり素晴らしく、結果的には大満足の内容だった。「ちょっと都合が良すぎるのでは?」と思う部分が出てきてもちゃんと後からその理由が説明されることが多く、しっかり考証が行われていることに脱帽する。
- 2025年5月19日小説野崎まど読み終わったこの本が課題本の読書会があったので、それが終わってから読了記録を残そうと思っていたので改めて。 「小説」という媒体に魅了された2人の少年が親友となり、主人公はただの読者として小説を楽しむ中、友人は作家として目覚めていき、進む道が分かれ始める。そんな青春小説だと期待して読んでいて、2人が仲良くなる経緯から、髭先生と呼ばれる老人の屋敷に出入りするようになる展開などにワクワクしていたが、後半は現実を超越した話になり困惑させられた。終盤の展開はぶっ飛びすぎていて、最初は「なんじゃこりゃ?」と思ってしまったが、「人がエネルギーを補給するために生み出した虚構が小説となる」というテーマがあるため、虚構であればあるほどこの作品のテーマの強度が深まるのだなと気づいた。創作する側に立たない人を肯定する物語というテーマだけでも優勝している。とても良い作品だった。
- 2025年5月17日
- 2025年5月17日
- 2025年5月16日プロジェクト・ヘイル・メアリー 上アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わったひとまず上巻を読了。面白い……。宇宙船の中で記憶喪失になった主人公が、たった1人で状況を推理しながら少しずつ記憶を取り戻して行く展開は、謎解きゲームみたいでワクワクする(というか僕が大好きなゲーム「Outer Wilds」みをすごく感じる)。上巻後半「ロッキー」の登場からはもうページを捲る手が止まらなくて……早く続きが読みたい!
- 2025年5月13日街とその不確かな壁(下)村上春樹読み終わった単行本で読んで以来2年ぶりの再読。初読時と同様にとても感動した。この作品で描かれている孤独・喪失・再生は自分のために書かれていると錯覚させてくれる。難解な部分はありつつも、村上春樹の他作品よりわかりやすく心に響く、前向きな救済が描かれた内容にも感じる。自分の「影」を受け入れること。「影」に受け止めてもらうこと、それを信じるということ。村上春樹が得意な冒険譚的要素は薄く地味な作品かもしれないが、自分の人生においてとても大切な作品だと思える大好きな小説だ。
- 2025年5月12日
- 2025年5月8日
- 2025年5月6日街とその不確かな壁(上)村上春樹読み終わった2年前に単行本で読んだが文庫版が出たので購入して再読。ひとまず上巻を読み終わった。改めて、孤独というものの描かれ方がとても鋭く、まるで自分のために書かれた小説なのではと錯覚させてくれる。孤独によって世界から見放されてしまったように感じ、生きている現実がまるで現実ではないような違和感に襲われる。そんな感覚を、空想の「街」という存在を通して物語として描いてくれる。下巻からはよりその内容が深まっていくのでそちらも再読が楽しみ。
- 2025年5月5日本の背骨が最後に残る斜線堂有紀気になる
- 2025年5月5日
- 2025年5月5日
- 2025年5月5日
- 2025年5月5日
- 2025年5月5日
- 2025年5月2日
- 2025年4月29日星の王子さまサン=テグジュペリ,A.de,内藤濯読み終わった20年ぶりの再読。読むたびに感じ方が変わる不思議な作品で、今回読んでこれもまた「想像力」の話だと気づいた。「想像力」は自分が生きる上でとても大切なテーマだとここ数年特に感じていて、改めてとても考えさせられる。メッセージ性が強い作品で、どういう意味なのか解釈が難しいシーンもあり、今後また人生のどこかで読み返したいと思う。ラストシーンなんかは意味深だが儚い美しさを感じる。
- 2025年4月26日
- 2025年4月26日火車宮部みゆき読み終わった最近のミステリーはどうしても衝撃的なラストが期待される傾向にあるように思うが、どんでん返しだけがミステリーではないと思わせてくれる良い小説だった。ここまで有名な作品だと、何か大きなどんでん返しがあるのではないか?と思いながら読んでしまったのだけど、どんでん返しは無くともしっかりと面白かった。 捜査を進めていく中で少しずつ真相に近づいていく、そして同時に、探している人物の人生が見えてくる。 クレジットカードの多重債務、破産という現代にも通じる社会問題を、90年代初頭の時代感をしっかり捉えた内容で描いていて、当時の働く女性たちの心情も鋭く描く筆致はミステリーとしての面白さだけではない魅力に富んでいる。 何より終わり方が素晴らしい。この物語ならではの終わらせ方だと感じる。
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