ミスター・ヴァーティゴ

6件の記録
蟹座の読書@reads_kaniza2026年9月12日読み終わった読む前に思っていたよりも胸に迫る物語だった。「ムーン・パレス」同様、喜びと悲しみを何度も繰り返していく。ポール・オースターのパターンなんだろうな。 荒くれ者の9歳の少年ウォルトが、謎の人物イェフーディ師匠に出会い、空中浮揚を教わることになる。信じられないくらい過酷な修行の末、ウォルトはついに宙に浮く。でも喜びの日々は永遠には続かず、悲劇が起こる。天空の城ラピュタでシータは「人は土から離れては生きられない」と言った。読み終えた今、むしろ飛翔と着地を繰り返すことこそが人生なのではないかと思う。 誰でも宙に浮くことはできる。そのために必要なのは技術を積み上げることではなく、徹底的に自分を捨てること。過酷な修行はそのためにこそあった。自分が空っぽになってしまったとき、飛翔が始まる。オースターもそんな経験をしたんだろうか? 少年時代、ウンコを漏らしたウォルトの世話を嫌な顔ひとつせずしてくれたミセス・ウィザースプーン。何十年もの時を経て、今度はウォルトが弱った彼女の世話をする。誰もが皆、最初は人にウンコ拭いてもらってたという当たり前のことを忘れていた。一瞬だけど、なぜか印象に残るシーンだった💩
数奇@suuqi2025年4月22日読み終わった少年が師匠の教えで空が飛べるようになるという、オースター作品としては珍しく童話的なあらすじのお話だが、内容はしっかりとオースター。人生における絶望と、そこから立ち上がる物語が描かれている。話が良い方向に進むたびに本当に辛い展開へと転落するのが何度も繰り返されるため、読んでいるときは正直かなりしんどかったが、心に残る作品だった。人生の「リアル」と「奇跡」を同居させた物語を作るのがオースターは本当に上手い。童話的でありながら、実際の事件や人物を交えたストーリーで実話のようなリアリティがある。それでいて、「空を飛ぶ」「地に足をつける」ということが人生の浮き沈みを暗喩しているような部分も面白い。



