
回寅治
@Mawari_trahal
2025年4月22日

星の子
今村夏子
読んでる
借りてきた
本読みの壁(この本面白いというスイッチが入るまでのページ数を)を簡単に超えることができた。ちはるの中にある常識とか世界観の多くが「怪しい宗教」に刷り込まれているのをひしひしと感じる。ちはるは自分の環境にあまり疑いのない様子だったが、ところどころ変なメガネだったりなべちゃんとの会話だったりから、自分の環境をメタ認知できるようになっていると感じる。ひろゆきとの関わりでは人間に元来備わっている危機回避能力がちはるにはあるんだと気づかされる。急に醜形恐怖症みたいになった時、自分が一番醜いと見えたのはどうしてなのかがずっと引っ掛かっている。クラスからも家族からも疎外感を感じて、それぞれの場所に帰属する人を嫌ったため、クラスメイトや家族を醜いとしたのか。中でもどっちつかずでいる自分が一番気持ち悪い(醜い)ということなのか。なべちゃんと和解する頃から、この醜形恐怖が単なるビジュアル問題にシフトしていくことから、そういうことが考えられた。だんだんとちはるの見ていた家族が奇妙なものに思えてくるところまで読んだが、そのきっかけが南先生への恋慕というのが面白い。恋は盲目と言われがちなところを、逆に恋によって目が見えてきている。そこで不安定になるちひろの心情、まーちゃんの行方など、今後の展開と心情描写が楽しみ。