
福藻
@fuku-fuku
2025年4月23日

新装版 苦海浄土
石牟礼道子
読んでる
油揚げを切っていた時。
「昨日ね、おでん煮よる間、台所で本読みよったよ。グツグツ言う音聞きながら読むの、なんか良いとよね」
いつか歳上の友だちがそう言っていたことを、ふと思い出した。今夜は煮物をしようと思っていたのだ。煮る間、真似してみようと思い立った。
椅子がないから折りたたみの踏み台に腰掛けて、読みかけのこの本とともに鍋の目の前に居座った。立ち上る湯気はお醤油のいい匂いで、なんて幸せな空間だろうと思う。あの時の友だちも、にやにやと、幸せそうな顔をしていた。
明日、友だちに手紙を書こうと思う。


