本屋lighthouse "私はなぜ自分の本を一冊も書か..." 2025年4月24日

私はなぜ自分の本を一冊も書かなかったのか (批評の小径)
なぜこれが「本」ではないかを説明する“著者”は読者がこのように言うだろうと予測する。 「本屋には」と彼は言うだろう(話しているのは読者である)。「本があふれていて、はばかることなく本を自称しているのに、読んでくれる人は一人もいないんですよ。はなからその名を拒む本で時間を無駄にはできません」(p.28) こんなことを書かれてしまっては、本屋として言わねばならないことがある。最高の文章だ、と。今日も夜になるまでお客さんがぜんぜん来なくて、でもお客さんが来なければたくさん本が読めるという面も確実にあり(言い方を変えれば、お客さんがたくさん来ると本が読めないということになる)、お客さんが来ない=読んでくれる人が一人もいないがゆえに、本屋である私が代わりにお前を読んでやろう、という意思を生じさせもする、この謎の状況を愛おしむほかない。
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