
にょ
@Yxodrei
2025年4月24日

シャーロック・ホームズの冒険
えすとえむ,
コナン・ドイル,
石田文子
読み終わった
感想
わたしにとって、初ホームズとなった本!
全12編の短編集。どの話も端的で無駄がなく、それでいて読後にはさまざまな余韻が残る。起承転結が明快で、テンポ良く読めるのが嬉しい。
本書で描かれるのは、名探偵ホームズと、冷静な観察者としても優れたワトスン。彼らの関係は、いわゆる「探偵と助手」というより、才気煥発な変人と、それに振り回されつつも見守る良識人という印象に近い。読み進めるうちに、互いの尊敬と信頼が少しずつ滲み出してきて、気づけば「あれ、思っていたより仲良いな……」とニヤニヤしてしまった。
なかでも、ワトスンという語り手の絶妙さにだんだんと惹かれていった。
彼は決して無力な傍観者ではない。適度に推測し、考え、迷い、驚き、そして記録する。読者の代弁者として、非常にバランスが良い。
何より、ミステリとしての構造美を損なわず、かつホームズが切り捨てがちな、“人間性”をしっかり描いている。その距離感と感性の絶妙なバランスが、わたしはとても好きだ。
特に印象深かった話は『五つのオレンジの種』



