
ricochet
@ricochet
2025年4月24日

メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集
シルヴィア・プラス,
柴田元幸
読み終わった
借りてきた
プラスを初めて読むのに短編集からでいいのかとちょっと思いつつ、私は短編が一番好きなので。
マンスフィールド的な繊細さや会話の妙に加え、ふわふわと雲の中を歩いているような軽さと不安が漂う。一歩間違えると底を踏み外しそうな。実際、ほとんどの作品には死が現れる。表題作も、自立の物語にしては随分と不穏で(茶色の服装で黄緑の毛糸を編む女性は地母神的な存在に見えるし、メアリを「取り分」にしたのではないかと思われる)、プラス自身の人生を思うと何ともいえない気持ちになる。しかしメアリの決断の瞬間は輝かしいし、この不穏さと若さの入り混じった空気感は好き。


