
Lusna
@Estrella
2025年4月25日

生きる力が湧いてくる
野口理恵
読み終わった
母と兄を自殺で亡くし、父は病死し、夫とは離婚し親権も渡した。でもこんなにたくましく生きている。今は気の合うパートナーと猫と暮らし、やっと「普通」の家族になれたのが救い。幼い頃の僅かな幸せの記憶を、うまく文章で表現してあり、そこだけ陽だまりのように暖かかった。
「旅先で雪がキラキラしていたとき、飛行機の着地がすごくスムーズだったとき、おいしいワインに驚いたとき、誰かに褒められたとき、いい映画を観たとき、夜風が気持ちいいとき。いつも頭の片隅で、私だけごめんね、という気持ちになる。世のなかには、生きていれば味わえることがたくさんある。あれもこれも、生きてさえいれば、と思う。父が食べたかったもの、母が行きたかった場所、兄が見たかったもの、私にはそれがなにかはわからないけれど、私が彼らのぶんもしっかり味わうしかない。味わって、私の糧とすることが、残された私の役割だ。」



