
Daidaigo
@df2179
2025年4月25日

傷のあわい
宮地尚子
読み終わった
カウンセリングの記録(もちろんリアルなケースではなくいろんな事例を混ぜている)は、受診に来た人の感情も全て出来事として記述される。
感情的な筆致になりにくいのは、出来事が書き連ねられて小説のような余白ができるからだろうか。
今では考えられないほど裕福だった日本人の姿にどこか羨ましさを感じつつ、それが決められたレール(これも今となってはそれが敷かれていた時代への羨望すら含んでいる)にのる大勢の人々、その生き方への苦悩が伴っていたことも思い知る。傷が全くない時代などないのだ。