
ON READING
@onreading
2025年4月26日

たのしい保育園
滝口悠生
読み終わった
ひと足先に読ませていただいたのですが、発売前からいろんな人に「めちゃくちゃいいんです!」「話したいから早く読んで!」と言いまくっていたこちら!
二歳のももちゃんとももちゃんのお父さんは日々、川べりや公園を歩く。過ぎていく時間と折々の記憶は、いつしか祈りへと昇華していく――。
父娘のなにげない日常を様々な角度から描き、いままで言語化されていなかった「育児」のディティールが驚くべき解像度で迫ってくる、まったく新しい「父」の連作短編集。
保育園までの道、鳥の名前、植物の名前、すれ違う人びと、保育園の先生たち、登園時の連絡帳、ふいちゃんとあみちゃん、お母さんへのプレゼント。「ももちゃんのお父さん」になって、世界と出会いなおすこと。
もう大人になってしまって、梅と桃の違いも、十秒前と一年前の違いも知ってしまった私たちは、ももちゃんのようには世界を知覚することができない。だけど、ももちゃんの視点を通して想像することはできるのかもしれない。
この小説は、ももちゃんを見ている「ももちゃんのお父さん」を通じて、私たち読者も追体験することができる。
世界は、なんて色鮮やかなんだろう。私たちは、それを本当に知っているのだろうか。
読んでいる間、ほんとうに幸せでした。今も、思い出すだけで心が震えます・・・。
植本一子さんとの往復書簡『さびしさについて』もあわせてどうぞ。おふたりの子育ての話がたくさん出てきます。
さらに言うと、この感覚は『世界をきちんとあじわうための本』(ホモ・サピエンスの道具研究会著/ELVIS PRESS)とも通じているな~、と思います。そうやって、あれもこれもといくつもの本につながっていく。これこそが世界。いろんな本の隣に置いて、ずっとずっと何度も読みたい一冊です。








