本屋lighthouse "スロー・ルッキング" 2025年4月27日

スロー・ルッキング
スロー・ルッキング
シャリー・ティシュマン,
北垣憲仁,
新藤浩伸
博物館でものを見るときには、たとえ自分が得た知識をうまく表現できなくても、私たちは膨大な量の情報を統合しているのです。実際、知識というと誤解を招くかもしれませんが、博物館の理念の特徴のひとつは、来館者としての体験の価値を、来館者が獲得した知識の量に直接結びつけていないことにあります。言い換えれば、私たちは博物館で何かを学ぶことに大いに期待をしていますが、得られた情報の量だけで体験の質を判断するわけではありません。博物館での体験がもたらす全体的な認知的成果は、知識を完全に理解したという感覚よりも、好奇心や可能性が広がる感覚であることが多いのです。(p.103) DIC川村記念美術館が展示物にキャプションをつけないという姿勢を貫いたのは、きっとこのことなのだろう。スロー・ルッキングを体現していた場所がつい最近失われたということ。移転した先でもこの姿勢を維持してほしいが、果たして。
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