JUMPEI AMANO "無知学への招待" 2025年4月27日

JUMPEI AMANO
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年4月27日
無知学への招待
無知学への招待
塚原東吾,
鶴田想人
第Ⅲ部2章まで。この本に「日本」の事例が入っているのは重要。 友澤悠季さんの「無知」論考、非常に充実している。以前拝読した友澤さんの共編著『シリーズ環境社会学講座Ⅰ  なぜ公害は続くのか』もとても勉強になるものだったので併読おすすめ。 〈北川[=化学者の北川徹三]は「無知蒙昧な漁師の言うネコのたたりなどという非科学的な言葉を信じて因果関係を論ずるとは何事だ」と怒った。宇井[=環境学者の宇井純]は「現場にいた漁民の正直な感覚を、たとえ表現は非科学的であっても信用します」と言い返したという。〉(172頁) 〈原田[=医師の原田正純]は患者に学ぶ新しい知の形を模索しようとしたが、周囲には、それをよしとせず、いわば無知へ引き戻すかのような力が働いていたことがうかがえる。原田本人はこれに対し[...]「本当の中立とは弱い立場のほうに立つことだ」と、自らの価値観を貫いた。〉(176頁) 〈芦川[=富士川火力発電所建設反対運動に参加した芦川照江]はそうする中で、「公共性」の内実について考えをすすめる。[...]そして「公共性なる仮面をもつものの理論の前で、闘い得る力は、自らのエゴを正しく確認した個の力でしかない。(中略)豊かに養われた個の感覚のみが公害問題の怖ろしさを捉え得る」との考えに至るのである。〉(177頁) 〈松下[=大分県中津市の記録文学作家・松下竜一]は、「反公害の住民運動は、一種の文化運動ではなかったか」と問いかけている。企業や行政が大学の権威を持ち出してくるのに対して、「自分たちの生活の場からの、暮らしの常識からの反論」をした。〉(178頁)
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