
宮子
@miyako
2025年4月25日

星の王子さま
サン=テグジュペリ,A.de,
内藤濯
読み終わった
かつて読んだ
心に残る一節
お気に入り
"おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)"(P.7)
"「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」と、王子さまがいいました。
とつぜん、ぼくは、砂がそんなふうに、ふしぎに光るわけがわかっておどろきました。ほんの子どもだったころ、ぼくは、ある古い家(うち)に住んでいたのですが、その家には、なにか宝が埋められているという、いいつたえがありました。もちろん、だれもまだ、その宝を発見したこともありませんし、それをさがそうとした人もないようです。でも、家じゅうが、その宝で、美しい魔法にかかっているようでした。ぼくの家には、そのおくに、一つの秘密をかくしていたのです……
「そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ」"(P.150)
"「夜になったら、星をながめておくれよ。ぼくんちは、とてもちっぽけだから、どこにぼくの星があるのか、きみに見せるわけにはいかないんだ。だけど、そのほうがいいよ。きみは、ぼくの星を、星のうちの、どれか一つだと思ってながめるからね。すると、きみは、どの星も、ながめるのがすきになるよ。星がみんな、きみの友だちになるわけさ」"(P.171)
再読。『星の王子さま』という日本語タイトルを付けた内藤濯訳のサン=テグジュペリ『Le Petit Prince』(小さな王子)。砂漠に不時着した飛行士「ぼく」の、遠くの星からやってきた王子さまとの出会いと別れの物語。
初めて読んだのは二十歳前後だったと思うが、献辞の"おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)"がずっと心に残っている。その通りだと思うし、いつまでも忘れずにいたい。
王子さまとのお別れシーンは何度読んでも寂しくなるが、王子さまと出会い仲よくなったからこそ、「ぼく」にとって星をながめることが特別になったのだなと思う。いつか私にもたいせつな存在との別れがやってくるが、そのときのことを考えると涙が出そうになる。キツネにとっての麦ばたけや「ぼく」にとっての夜空の星のように、喪失の悲しみを乗り越えたいせつなものになることを願う。

