
宮子
@miyako
2025年4月27日

天国はまだ遠く
瀬尾まいこ
読み終わった
⛰️読了。仕事に疲れた二十三歳の千鶴は死ぬことを決意し、行き着いた山奥の民宿で自殺を図るも失敗。民宿のオーナー・田村と集落の大自然の中で過ごし、再出発をするまでのお話。
「転職すればいいのでは?」と思ったが、仕事がとても辛いときは私にもあるし、千鶴より若い頃に一度だけもうどうしようもないお先真っ暗だ……と絶望して死のうと考えたこともあるし(勿論人生どうにもならないことなんてあまりないのだが)、読み進めるとフロッピーという単語が出てきて自分が想定しているよりも過去のお話なのかなと感じた。それなら転職も今と違ってまだ珍しいだろうし、作中で出てくる携帯電話もスマホじゃなくてガラケーな気がする。
個人的に好きなところは久秋に宛てた手紙のシーン。こっそり民宿の住所がわかるようにする田村と、「何かあったのかな」で遠くまで訪ねに来る久秋の人間性が良い。あと「あ、メールって言うのは、通信手段の一種で、携帯電話に打った文字が……」「知っとるわ」からの「手紙?」「そう。紙に文章書いて、切手貼ったら郵便局のおっさんが届けてくれるやつ」「それくらい知ってます」の応酬に笑った。
私の実家も田舎なのでわかるのだが、「長男だから」で人生の道筋が決まってしまうのは悲しいなと思う。自分は自分であって他の誰でもないのに。私は突っぱねられたが家族仲が良いというのも良いことばかりではないのだなぁ。いや良いに越したことはないけども。田村が地元へ戻ってきたからこそひとりの命が救われたのだということが救いになっていればいいな。
