gato "「ヒルマ・アフ・クリント展」..." 2025年4月28日

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@wonderword
2025年4月28日
「ヒルマ・アフ・クリント展」図録
巻頭の評伝とカタログ部分の解説が保守的かつ説明不足で不親切なので(展示でも思ったけど、ノートに限らずはっきりと文字が書いてある作品の文字起こしと翻訳がないのはなぜ?)、まさかこの作家の作品集で存在の大いなる連鎖もゲーテの色彩論もでてこないことある?と思っていたが、岡﨑乾二郎の評論「認識の階梯」がその辺りを全部回収しつつ、スウェーデンボリやフェミニズムと児童教育の意識改革などを絡めながら論じていてこれはとても読み応えがあった。 三輪の小論の「モダン・アートの既存のパラダイムは変更することなく安定させたまま、アフ・クリントの作品をそこに位置づけることはできるのだろうか」という一文が何を言ってんじゃって感じで引っかかって仕方なかったのだが、岡﨑が「制度的な既存美術はアフ・クリントの作品を包摂して、正当に位置付けることはできない。反対にアフ・クリントの作品は既存美術を体系として包摂できる。/そのとき、既存の美術史がアフ・クリントの作品にも適用しようとしていた『抽象』という概念は変容を迫られることになるだろう」と総括してくれたので胸のつかえが取れた。総じて「既存のパラダイム」では説明しきれない部分についての歯切れが悪いカタログではあるが、岡﨑の論が読めたのは非常によかった。あと印刷がとても綺麗です。
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並行してAdam Smythの'The Book-Makers: A History of the Book in 18 Remarkable Lives'という本を読んでいるのだが(Readsの検索は洋書に弱いので登録できないのが残念)、この本では17世紀にカット&ペーストを使った本作りの先駆者としてLittle Giddingという宗教共同体が紹介されており、ヒルマにも通じるヴィジョナリーの系譜を感じた。
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