
ユメ
@yumeticmode
2025年4月26日

マイ・ディア
氷室冴子
読み終わった
感想
氷室冴子さんが少女小説/家庭小説に対する思いの丈を存分に綴ったエッセイ。私も少女小説が大好きなので、とても楽しく読んだ。明日を夢見る芯の強いヒロイン、ロマンティックな恋愛、香ばしさが漂ってくるような料理の数々に、美しいドレスの描写。名作と評される少女小説には、時代を経ても色褪せることのない魅力がたっぷり詰まっている。
中でも私はモンゴメリの作品をこよなく愛しているので(いちばんの愛読書は『丘の家のジェーン』だ)、彼女に対する氷室さんの評価には「分かる分かる」と頷くことしきりだった。人間観察眼にすぐれたモンゴメリの筆は、もちろんヒロインである少女たちを描くときも活き活きとしているけれど、中年以降の女性を描くときにも冴え渡るのだ。アンシリーズやエミリーシリーズが有名なモンゴメリだけれど、大人が主役となる『青い城』や『もつれた蜘蛛の巣』も私は大好き。〈腹心の友〉に捧げる氷室さんの文章に触れていたら、モンゴメリを読み返したくてうずうずしてきたので、さっそく『赤毛のアン』を本棚から出してきた。
さて、本書では数多の少女小説が紹介されており、中には私の知らなかった作品もたくさんある。今では絶版になってしまっている本も多いのは残念なことだが、河出文庫から復刊されている氷室さん一推しの『リンバロストの乙女』と『そばかすの少年』は絶対に読みたい。
