
松本真波
@_mm177177
2025年4月30日

感応グラン=ギニョル
空木春宵
読み終わった
読書日記
電子書籍
@ 自宅
『Rampo Sicks』読了。
最後に相応しい短編。そして本のタイトル回収。
本作の序盤に、谷崎潤一郎の『刺青』から「すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった」の一文が引用される。だか、本作では美は罪であり咎である。よって断罪されるべきものである。
本作は「美」をメインテーマに据えているが、実際はやはり人間の"こころ"そのもの。
また、人間社会における「視線」の暴力性をも描く。見る、観る、視る。見られる、観られる、視られる。そして、そこから生まれる「美しさ」。だが如何にして美しさは判断されるのか。憧れや羨望?劣等感や嫉妬?
視線を向けられている当の本人は真に何を思うのか。一つの力強い答えが提示されている。
当初はエログロの描写が強烈で、この本を読み始めた事を後悔していたけれど、最後まで読んでよかったと、今は心から思う。
