感応グラン=ギニョル

14件の記録
- 松本真波@_mm1771772025年4月30日読み終わった読書日記電子書籍@ 自宅『Rampo Sicks』読了。 最後に相応しい短編。そして本のタイトル回収。 本作の序盤に、谷崎潤一郎の『刺青』から「すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった」の一文が引用される。だか、本作では美は罪であり咎である。よって断罪されるべきものである。 本作は「美」をメインテーマに据えているが、実際はやはり人間の"こころ"そのもの。 また、人間社会における「視線」の暴力性をも描く。見る、観る、視る。見られる、観られる、視られる。そして、そこから生まれる「美しさ」。だが如何にして美しさは判断されるのか。憧れや羨望?劣等感や嫉妬? 視線を向けられている当の本人は真に何を思うのか。一つの力強い答えが提示されている。 当初はエログロの描写が強烈で、この本を読み始めた事を後悔していたけれど、最後まで読んでよかったと、今は心から思う。
- 松本真波@_mm1771772025年4月29日読んでる読書日記電子書籍@ 自宅『徒花物語』読了。 なんと感想を述べたらいいのか。 外界からの驚異的な存在が登場するも、やはり向けられるのは人間の"こころ"で。彼女らが感じた恐怖、苦しみ、怒りをおそらく読者は理解できない。そして読者が想像するよりも、彼女らはずっと強くて逞しい。確実に迫り来る死に対して向き合い、その恐怖を払いのけ、どう生きるかを考え選択したのだから。 ただ、私の想像力が足りない為か、彼女らの心情(特に怒り)になかなか共感できず、物語の筋として程良く終わった感が。時間を置いて読み返したら、また感想が変わるのかな。
- 松本真波@_mm1771772025年4月28日読んでる読書日記電子書籍@ 自宅『メタモルフォシスの龍』読了。 恋に敗れた人間が、蛇や蛙に変身してしまうお話。 騙された。途中それに気付くまで、完全に騙された。正直それまでは少し退屈で、芯のない主人公に嫌気がさしていたのだが、主人公の正体が分かった瞬間「自分が何者であるかを痛みを持って探る、踠き苦しんでいる1人の人間」と好感を持てた。 前のニ作品と比べると個人的には面白みに欠けたが、現実問題として捉えた時、やはり深く受け止める内容であったと思う。
- 松本真波@_mm1771772025年4月27日読んでる読書日記電子書籍@ 自宅『地獄を縫い取る』読了。 一言、強烈。けれども、他人事ではないお話で。 五感を他人と共有できるようになり、感情までもが電気信号として送受信できる世界。 本作が表立って扱うのは「性」の問題。ただ、もう一つ「暴力」も有る。あまりにもリアルな描き方で。これは将来訪れる未来でもあり、もうすでにこの世の中で(認知できていないだけで)起きている事でもあるように思われた。 怖しい。けれども、目を背けてはいけない。 「地獄」が存在する事を知っていなくてはならないし、その「地獄」に決して踏み入れてはならない。ただ存在するであろう「地獄」を無くすためには、この様な方法しかないのだろうかと、読後、呆然とすることしかできなかった。
- 松本真波@_mm1771772025年4月25日読み始めた読書日記電子書籍@ 自宅表題作『感応グラン=ギニョル』読了。 なんて本に手を出してしまったのか、と後悔した。他人の傷を、凄惨な過去を好奇な目で見て「ああ、自分じゃなくてよかった」と安堵する身勝手な醜い心。きっとそれは誰にでもあり得るもので。そうした目に晒される彼女らは何を感じるのか。 人間としての欠損を認めた時、読者もまた、彼女を人として見れなくなってしまう。 しかし、本作はそれだけでない。もっと大きなものを描こうとしている。読めば分かる。
- 松本真波@_mm1771772025年3月22日買った電子書籍レビューに書いてあった「江戸川乱歩的な耽美さや幻想文学的アプローチ」というのが心惹かれた。内容的に色々と覚悟が入りそうだが、どんな風に向き合って描かれているのか読むのが楽しみ。