
黒井 岬
@caperoy
2025年5月1日

弓と竪琴
オクタビオ・パス,
Octavio Paz,
牛島信明
読み終わった
長いこと格闘して読み終えた。ヨーロッパの散文・韻文とそのリズム等について論じた章やギリシャ叙事詩の章は当然のように歯が立たなかったが、メキシコに生まれアメリカ・ヨーロッパを巡り、東洋にも渡って親しんだパスの獲得した普遍性の上に編まれた詩論に、難解な本書ながら今触れられて良かったと思う
頑張ってかじりついて読み終えて、訳者のあとがきを読みながら何となくほっとする。
以下【彼岸】の章より抜粋
自らの中で真に孤独である者、自らの孤独において充足している者は、孤独ではない。真の孤独とは、自らの存在から離れていること、二つになっていることである。われわれが皆孤独なのは、われわれが二つになっているからである。未知の人、つまり他者は、もう一人のわれわれである。(中略)われわれの足元には虚(うろ)が、くぼみがあるのだ。人間はやっきになって、しかも苦悶しながら、自分自身であるその他者を探し求める。そして、他者を彼自身の中に戻しうるのは、ただ決定的な飛躍——愛、イメージ、〈顕現〉——のみである。



