
ユメ
@yumeticmode
2025年4月28日

赤毛のアン
モンゴメリ,
ルーシー・モード・モンゴメリ,
Lucy Maud Montgomery,
村岡花子
読み終わった
心に残る一節
感想
再読
氷室冴子さんが少女小説に対する愛を語ったエッセイ『マイ・ディア 親愛なる物語』を読んだら、モンゴメリの作品を読み返したくていてもたってもいられなくなった。本当に、アンシリーズは何度再読しても鮮やかな感動をもたらしてくれるし、そのたび新たな発見がある。
プリンス・エドワード島の美しい自然の描写や、いつだって明日への希望を失わないアンの人生哲学にも変わらず心惹かれるのだが、今回の再読でとりわけ感銘を受けたのは、マシュウとマリラがアンに注ぐ愛情の深さだ。
寡黙なマシュウの優しさには、何度か涙ぐんでしまった。手違いでグリン・ゲイブルズにやってきたアンをひきとらないかと主張するマシュウの、「わしらのほうであの子になにか役にたつかもしれんよ」という言葉や、右往左往しながらアンにクリスマスプレゼントとしてパフスリーブの洋服を贈る名シーン、エレーン姫を演じようとして溺れかけ落ちこむアンにささやいた、「お前のロマンスをすっかりやめてはいけないよ」という言葉、どれも本当に温かくて心を打たれる。
一方、厳格な印象のあるマリラだけれど、表に出さないたちなだけでアンのことを深く愛していると伝わってくるのに胸が詰まる。そして、頑固だった彼女がアンに感化されてちょっぴりユーモアを身につけてゆく描写もまた素晴らしい。


