
ユメ
@yumeticmode
2025年4月30日

アンの青春
モンゴメリ,
村岡花子
読み終わった
感想
再読
この『アンの青春』の原題は、『アヴォンリーのアン』。前巻『赤毛のアン』の原題は『グリン・ゲイブルスのアン』で、タイトルの通りアンの世界が徐々に広がり、彼女が村の人々から広く愛されているのが嬉しい。
クイーン学院を出たアンは、アヴォンリー小学校で教鞭をとる。己の理想をしっかりと掲げるアンと、幼い子どもたちのやりとりが微笑ましい。中でも、アンと〈同類〉であるポール・アーヴィングとの心の交流の瑞々しさは印象深い。ミス・ラヴェンダーとのあいだに芽生える友情もしかり、アンにとっては魂が惹かれ合う者同士に年齢は関係ないのだ。
ミス・ラヴェンダーの人物造形はとても魅力的で、シリーズの中でも私が好きな登場人物のひとり。モンゴメリは、歳を重ねても心に若さを宿した人物を書くのが上手いなと思う。
マリラとレイチェル・リンド夫人の友情の実直さも素晴らしい。マリラが双生児やリンド夫人をグリン・ゲイブルスに迎え入れたのは、もちろんマリラ自身の誠実さゆえでもあるけれど、アンの影響もあってのことだろうなと思う。アンは周囲を感化せずにはいられないヒロインなのだ。


