あおい "少年と犬" 2025年5月4日

少年と犬
少年と犬
馳星周
2025.5.4読了。 一気に読みました。 犬だけじゃなく、動物は人間にはわからない感覚がわかったりするし、動物たちの愛情は本当に純粋で濃やか。 私は多聞をどこか昔家にいた犬や猫たちと重なるものがあるなと思って読んでいました。 人の心に敏感で、いつもは好きなところで寝ているのに私が体調が悪い時や落ち込んでる時はそっと近くにいたり、帰宅した時は毎回全身で嬉しさを表現してくれたり、愛情表現は素直で純粋。みんなそれぞれ個性があったけど、みんなのことが好きだったことを思い出しました。 出てくる登場人物は何かしら困りごとを抱えていて、そこにそっと寄り添ってくれる生き物に縋りたくなる気持ちは理解できるな、と思いました。 人じゃない方が素直になれるし、自分の感情に向き合いやすいのだと思います。 それでも多聞と関わった人たちはみんなその困りごとを自ら選択して背負っていて、その結果を受け入れるタイミングまで多聞がそばにいるのだな、と。 どの人も心根が善人だから、動物病院にも連れて行くし、ご飯もきちんと食べさせてあげるし、散歩にも連れて行く。 でも自らの選択で背負った業がある人たちばかり。 自ら選べないことで苦しんでいるのは光だけ。 雑誌掲載時とは収録順が異なっていることを読み終わってから知りましたが、ストーリーを活かすのは書籍掲載順だなと納得。 たただ優しい動物とのハートフルストーリーじゃないところが、逆に私にはよかったです。
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