さみ
@futatabi
2025年5月4日

密航のち洗濯
宋恵媛,
望月優大,
田川基成
読み終わった
映像作品を観ているようだった。読み終えてようやく、そもそも少なくない当時の人間が「密航」せねば自分を守れなかったというような状況の異常さと、その異常に深く関わる国でここまで過ごしていながら、ほんの数十年前に起きていたことにここまで目を向けずに、主張される被害や権利について無頓着でいられたことののんきさに、改めて驚かされる。構造の中にあると、人は人をこうもこんなに近くにいても無視できるのか。
「こうして登志子は、「朝鮮人」となり、「外国人」となった。だが、それはあくまで国家や行政がそう処理したというだけの話である。日々の生活において、その境界線は簡単に越えられるものではなく、また同時に曖昧な形で行き来するものでもあっただろう」
国籍に限らず、自分の人生を、自分のしたい時にでなく外部からの要請で気まぐれに証明させられることの暴力性。


