
渡辺洋介
@yskw0514
2025年5月5日

台湾のデモクラシー
渡辺将人
読み終わった
「隙間」 高妍著を読んで台湾の今を知るために手に取った一冊
「隙間」 P.18
「それは台湾、いや正しくは『中華民国』の国慶日であった。」
「私にとって受け入れがたい旗が忠考東路にずらりと掲げられているのを眺める。」
この場面では台湾国旗「青天白日満地紅旗」(せいてんはくじつまんちこうき)が描かれている。
自国の国旗をなぜ受け入れがたいのか?中国本土とは異なる独立国としてのアイデンティティを示すシンボルではないのか?と疑問に思っていたが、本書によってその疑問が解決した。
「二十世紀後半に世界各地で起きた民主化『第三の波』の中でも、権威主義時代の支配者が、民主化後もそのまま二大政党の片方として居残る例は稀である。
しかも、旧支配政党のシンボルをそのまま国のシンボルとして使い続けている。
青天白日満地紅旗と呼ばれる中華民国の国旗と国民党の党旗のデザインは、ごくわずかしか違いがなく、素人目には区別がつかない。」(P.14)
重要だと感じた視点
「本土化とは中国大陸化のことではなく、台湾を本土として生きていく台湾化のことである。<中略>
台湾におけるメディア分断は、アメリカのような『保守』『リベラル』の分断とは異なる。
根底にあるのは、あくまで『中国ナショナリズム』と『台湾ナショナリズム』というアイデンティティの政治的対立軸である。」(P.127)
「1950年代半ば以降、学校教育などで使用を禁じられ、国語を中国語に統一された経緯から、台湾語は国民党支配への反発を象徴する土着魂の記号としての性質を持つようになった。」(P.154)
終章 「デモクラシー未来図」
著者の日本に向けたメッセージだと受け止めた。
「それは、そう遠くない過去に政治を実際に市民が変革した集合的な経験があることと無関係ではないだろう。<中略>
社会運動によって政府を作り上げた経験があれば、『自分たちがプレイヤーで、政府をコントロールする主体だ』という意識を持ちやすい。
だからこそ、災害やパンデミックの危機においては、一時的に権限を集中させても、全体主義に戻ることはない。」(P.276〜277)

