
加非
@chioneko
2025年5月5日

あらゆることは今起こる
柴崎友香
読み終わった
“ADHDと診断を受けた作家の描く、日常の話”といった印象をもって読み始めたけれど、実際は作者の今ここの話といった感じ。
ADHDだからどうこう、というより私はこういう風に考えることがある。こういうことをすることがある。もしかしたら、それはADHDの特性なのかもしれないし、私だからかもしれない。
そんな語り口だ。
ふと気付かされるのは、ADHDの人はこんな人だという定型なイメージの狭さだ。実際、この作者のエピソードでは身体的多動よりも動けない(脳内の多動による身体のフリーズ)がよく出る。
しかし、この本のように言語化されなければ、周りから多動と思われることは先ず無い。
定型や特徴を紙面上で学ぶことは重要だ。
けれど、それが全て見える形で表現されるわけでも、そして表現されているとしても困っているとも限らない。(実際、作者の人生は楽しそうだ……と、私は思ってしまう)
診断名は人類を分別するものではなく、ただ生きやすくするために使う道具なのだな。そして私は道具に振り回されているのだな、と気付かされる部分も多かった。


