
haku
@itllme
2024年9月5日

死にがいを求めて生きているの
朝井リョウ
かつて読んだ
小説のタイトルに"死"があるのに惹かれて手に取ったと言われたら惹かれるかもしれないけれど、タイトルに惹かれて私はこの本を手に取った。
1番印象的なのはやはり
この物語の主人公である
"堀北雄介"
久しぶりに忘れがたい登場人物に出逢ったと感じてる。
自分だけができること、他者から認めてもらえるのものを追い続けた彼の姿はどうしても自分と重なった。
大学生編で雄介が革命家大学生のグループから外された時はまるで自分がされたかのように感じた。
革命家グループを抜け、軍隊にいくと言った韓国人留学生、あの女学生。
それぞれが追い続けた"オンリーワン"なんでないことに気づいていく。
それが現実でそれがおそらくこの社会で幸せに生きていく方法なのかもしれない。
雄介は最後まで追い続けた人だった。
騙されてもそれを知りながら。
自分の可能性を信じて。
ありのままで。
この言葉を多分ずっと信じてたんだと思う
この本に出てくる人は自分が現実に気づいた途端に雄介から離れていってしまうけれど、多分それは全然違う人間としてみてるのではなくて過去の自分を重ね合わせて、ここまではならなかったと安心しているだけだと思った。
雄介の性格や問題ではない部分の方が多い誰もがなり得る姿、この時代において。
朝井リョウさんは特別付録のところで
今の時代への言葉を書いていた。
『誰もがありのままでいいと叫ばれる時代に生きながら自分を誰かと比べ続けてしまう苦しみ、自分で自分の意義や価値をジャッジし続ける行為は、心の内側から腐っていくというか、外から見ても傷の在り処がよくわからないんですよね。だから、若者が吐露する辛さは時に、甘えのようにも見えてしまう。』
私は堀北雄介に自分を重ねながら
作者からの寄り添いとだからといってこの時代から逃げられるわけではない、参加するしかないという激励のようなものを受けた気がする。
多分この本はまた読み返すと思う。