
haku
@itllme
2024年11月13日

かつて読んだ
友人に勧められて手に取った本。
チョコレードグラミーを最初は美味しいお菓子だと思ってました。違いました笑
町田そのこさんの作品は2作品目だけれど一つ一つの言葉が心に染み入る。
なんてありきたりな表現なんだろうかと思うけど、その言葉が今のところしっくりきている。
(以外ネタバレ有り)
***
「波間に浮かぶイエロー」
環が会いにいったのは昔自分のことを好きだと言ってくれた相手だった。
そんな設定だけを聞くといまからラブストーリーかなにか始まるのかと思うけれど
環はその理由を後でこんなふうに話す
「 いまもわたしのことが好きかな。わたし、それが知りたいの。まだ、信じていたいの。自分がちゃんと誰かの特別で、素敵な人間だって」
この言葉を聞いたとき
2年前、大学2年の京都駅にいる自分を思い出さずにはいられなかった。
環は分かってたけど私は分かってなかった。そんな独りよがりな気持ちに。
この話の本当の結末を環は知らない。
けれど、彼女のことを真っ直ぐに好きだった重史さんの気持ちはずっと彼女にあった。その真実を知ったとき、2人の過去の話を聞いたとき、切なくて、そしてあったかくて羨ましくなった。
重史さんは生き続けるし、環はきっと大丈夫なんだって思えた。誰かからの言葉が人を救ってくんだって思った。
「溺れるスイミー」
プロポーズを機にその場所に留まることから逃げ出したいと思う主人公の唯は、ほんとに私の気持ちを少しばかり代弁してくれているようだった。
そして、彼女が惹かれていく宇崎くんは
その自由を手に持っている人だった。
宇崎くんが唯にプロポーズしたとき自分が言われても同じような気持ちになるんだろうなだと思った。
唯のお父さんもお母さんも
自由を求めた立場と
置いて行かれた立場で
描かれてて、わたしは置いて行かれた立場の気持ちをどうにも理解できなかった。
でも、留まることを決めた唯をみてその姿がどうしてか、かっこよく見えたよ。
この作品にはなぜか
ありがとう
と言いたい。
わたしの今の心を救ってくれるような作品だった。