
読書日和
@miou-books
2025年5月8日

山の上の家事学校
近藤史恵
読み終わった
家事に非協力的であった男性が妻から離婚され、妹のすすめもあって男性を対象にした家事学校に行くことになる。
校長の定義する家事「家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事、すべてのことを言います。多くが自分自身や、家族が快適で健康に生きるための手助けをすることで、しかし、賃金の発生する労働と比べて、軽視されやすい傾向があります。」いきなり核心をついていてしみます。
男性だけが通える家事の学校、寮生活も選べるし週末だけの通学も選べる、緩やかなカリキュラム。
通っている男性たちの言葉から、家事は習っているけれど、女性がやるべきもの、という気持ちが透けてきて、読んでいて辛かったりイライラしたり。既視感強い会話に心が振り回される。主人公は学校に通ううち、生活自体を見直すようになり、自分がいかに家事・生活を軽んじていたか、妻の心を踏みにじっていたかに気づいていく。
物語の終盤は私自身も自分の母の事を思っていた。父は全く家事をしないし、自分の着替えがどこにあるかさえ分からないだろう、、。母が全部やって何とも感じていなかった。母にも人生があるのに、私も一個人としての母の人生を思いやることはなかったな、と反省する。
中年以上の男性陣に読んでほしいと思った、いや、身近な男性か(職場も含めて)。家事を誰かが背負うのではなく、分担するのが当たり前の世の中になりますように。



