
amy
@note_1581
2025年5月8日

マリエ
千早茜
読み終わった
感想
フェミニズム
千早茜さんの『マリエ』はフランス語の『marié』で結婚を指している。40歳を目前に離婚をした主人公が既存の人間関係や、新たに出会った人たちそれぞれの結婚観・恋愛観に接しながら、恋愛や結婚というものに再び向き合い「自分にとっての幸せとは何か」を模索していく物語。
千早茜さんの小説は『西洋菓子店プティ・フール』を読んだことがあるのだけど、いつも美しい文章だなあと思う。ここぞというときの比喩表現や情景の描写がガラス細工みたいに繊細できらきらしている。だから美しい文章という印象が強いのだと思う。リーダビリティとはちょっと違うのだけど、いつまでも見てられる景色みたいな
内容はタイトルだけあって、結婚と恋愛の話で主人公が離婚するところから始める連作短編集。恋愛ってごくごく個人的なことのくせに結婚するには証人が必要だったり必要な書類を役所に出して、国に"認めてもらう"必要があるのってマジで気持ち悪いなーと思う。なんでいきなりカテゴリが個人から社会になんねん。あほか!と思ってしまう。それはそれとして同性婚はとっとと法制化しろとは思う
この恋愛から結婚になると、途端に社会が食い込んできて、だからこそ現状の女性にとっては生存がかかっていて、実質身売りしなきゃいけなくて、1000年前の平安時代から変わってねえじゃん!となるんである
個人的なことと社会的なところがグラデーションになっているのが、規範の内面化につながったり、それぞれで重きを置くところが違っていたりする
その複雑さとめんどくささと、だからこそ相手をつなぎとめたいとかもうすべてほっぽりだして陶酔したいということも起こる。矛盾してて一貫性のない考えや行動になってしまう人間を描いているのところが好きだし、それこそが人間でおもしろいと思う
こういう恋愛や結婚の描写や捉え方がおもしろい作家のアセクシャルやアロマンティックな人をメインに据えた作品を読んでみたい

