
とーど
@toutoutoudo
2025年5月9日

星の牧場
庄野英二
読み終わった
カシワイさんの絵が素敵だ〜となって手に取った一冊。
名作でした、この世には存在するけど読んでないだけのすごい作品があるのだと改めて思って、発行してくれてありがとうございますという感情。
大人になるにつれてなくしたやさしい世界が描かれていて、自分も持っていた世界を思い出した。
モミイチという戦争から帰ってきた男が主人公。はにかみやの無口なモミイチがツキスミという戦争中に離れ離れになった愛馬との話。
森の中で出会うジプシー達のエピソードひとつひとつが愉快で面白くて綺麗でわたあめに包まれているみたいな気分で呼んでいた。現実から森の中へ入っていっていく過程がグラデーションのように現実から幻想へ移行していくところが良き。あと森の中の風景の色遣いがすごい、美しすぎる。モミイチが見ている色がすんなりと入ってきて想像ができた。あと、フルートさんが作ったジャムが食べたくなった。食事シーンもいい。ミネラル。
紐解いていけば戦争の後遺症で幻を見てしまっていると解釈になる。モミイチが戦争中の体験が辛くて記憶をなくしたけど、そこで出会った楽しかったり美しい体験もあって、それを再構築して森の中に生み出した。頭の中にあってもそれが人を救っているならそれは現実です。でも、音楽はモミイチの頭に知識がなさそうだけど、出てきているからやっぱり本当にジプシー達はいるのかもしれない。
そいでラストシーンですよ、まって、泣きそうとなった。この小説に相応しすぎる。音楽に明るくないので曲全くわからん〜となったまま読み進めたけど、最後だけはなんか音が聞こえた。
タイムスリップして若かりし頃の自分にプレゼントしたい本選手権優勝です。