
ゆい奈
@tu1_book
2025年1月22日

走れメロス改版
太宰治
読んでる
『走れメロス』を読んだのはいつぶりだろうか。あまりにも有名な冒頭を読んで、ホンモノ〜〜〜〜みたいな気持ちになるくらいには久しぶり。それにしても友であるセリヌンティウスはなんていい奴なんだ。二年ぶりに再会した友に人質になってくれと頼まれ、即OKできる器のでかきことよ。しかも一度しか疑わなかっただと....?持つべきものはセリヌンティウスだな。メロスは知らん。兎にも角にも面白かった。こんなにおもしろいものを国語の時間に読んでいたとは。
『富嶽百景』では、目のまえにある美しいとされる景色に太宰が言葉を添えるとこんなふうな表現になるのだなとか、そんなふうな捉え方をするのだなとか、根底にある太宰のやさしさのようなものが感じられて、なおかつ明るいほうへむかっていく様子があまりにもよかった。好きな場面は、井伏氏(おそらく井伏鱒二)と登山をし、頂上にて濃い霧が吹き流れ眺めがよくないときのこと「井伏氏は、濃い霧の底、岩に腰をおろし、ゆっくりタバコを吸いながら放屁なされた」という一文。上林暁の随筆で井伏がこれを嘘っぱちだといっていたということが書かれていたことを思い出しながら、しかしこれはおそらく屁をしたな、太宰に一票、と心の中でゲラゲラ笑った。
「ねるまえに、部屋のカーテンをそっとあけて硝子窓越しに富士を見る。月の在る夜は富士が青白く、水の精みたいな姿で立っている。私は溜息をつく。ああ、富士が見える。星が大きい。あしたは、お天気だな、とそれだけが、かすかに生きている喜びで、そうしてまた、そっとカーテンをしめて、そのまま寝るのであるが、あした、天気だからとて、別段この身には、なんということはないのに、と思えば、おかしく、ひとりで蒲団の中で苦笑するのだ」(P.70〜引用)
明日くらいに読み終わりそう。
本読み仲間たちともいい本を読めそうだし、楽しみがひろがる。


