ビスケットアパート "水の流れ" 2025年5月11日

水の流れ
水の流れ
クラリッセ・リスペクトル,
福嶋伸洋
一対一で語られていく、わたしとあなた、作者と私、書物と私。こういう読書は久しぶりだった!広大な夜に小さな部屋で二人きり、打ち明けられた秘密を聞いているような気持ち。かつて発見されたラテンアメリカ文学ブームと同時期に、ブラジルにある自分ひとりの部屋で書かれた(と思う)本。 「…あなたも芸術が好きでないことは知っている。わたしは生まれたときから堅固で、英雄で、孤独で、直立していた。そして、絵にならない美しくもない風景のなかで、自分の対位法に出会った。醜さがわたしの戦旗。わたしは醜さを同類の立場で愛する。そして死に挑む。わたしは──わたしは自分の死。」 「…わたしは腕時計をしたまま埋葬されたい。地中でも時を刻んでもらいたい。わたしはいまこんなに広大。凝縮してもいる。わたしの歌は深い。緩慢。でも育っている。さらに大きく。」 「…そう、わたしがあなたに書いているものは、誰のものでもない。誰のものでもない自由は、ひどく危険だ。空気の色をした無限のように。」
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