水の流れ

57件の記録
- fuyunowaqs@paajiiym2025年6月15日読んだNotForMeわからないまま読み終えた。 目を覆いたくなるほどの激しい自己愛が溢れだす文章だった。徹頭徹尾自身の内面にしか関心がない人のエッセイのようで、理解してほしいとくり返しながら対話や受容を試みる姿勢の見えない一方的な告白だから、読み進めるにつれ嫌悪感に苦しむ時間が長くなっていった。また本書の中で、たびたび絵を描くという行為について語られるが、はたして"わたし"が絵を描くというのは本当かどうか、比喩なのではとも思う。言葉選びは詩的でも、全体のテンポもリズムもめちゃくちゃで、とても詩歌に喩えられるものではない。秩序のない自由はただの混沌だろう。123ページに書かれたある箇所に、この本のすべてがまとめられていると思った。 "わたしがあなたに無秩序に書いていることはよくわかっている。でもそれは生きるのと同じこと。わたしが扱うのは「見つけたもの」と「失ったもの」だけ。" 装幀は佐々木暁さん。とても美しい佇まいの一冊で、余白をぜいたくに使った組版も凛としている。四六判の変形で、コンパクトなのに存在感のある、優れた造本だった。
- fuyunowaqs@paajiiym2025年6月14日読んでるわからない本をわからないまま……わからん。 作者のことばを借りるなら"室内文"とのことだが、とりとめのない思考を自動筆記で散文の形に押し込めたもののようにも感じるし、くり返し考えてきたことが虚偽にならないよう重ねたり削ったりつぎはぎした結果にも見える。ただ、たしかに海の上や空の下では生まれえない作品だと思った。何度も何度も、生と性への抑圧、信仰が語られる。排他と切望と言い換えてもいい。 本当にぜんぜんわからない。作中で具体的な時刻と時間経過が示されるから、それに合わせて読んでもよかったかもしれないけど、午前3時とか6時とか、ちょっとむずかしい。
- fuyunowaqs@paajiiym2025年6月13日読み始めたわからない本を……わからないまま読みきる力が試される……! ギリシャ神話を俎上に載せたり歴史や政治への批判を述べてうそぶいたりしているのには気づけても、今のところぜんぜん響いてこない。一対一で語りかけてくる文体なので逆に申し訳なさを感じる。最後まで読みたいのでがんばります。
- きりんモリモリ@tantakadance2025年6月1日読んでる借りてきた途中まで読んだけど、最後まで読んでも同じなような気がする。これは水の流れそのもののように、流れを書いているだけだから。だから流れを感じて、それで終わりで良いかなと思った。 絵を描く人が文字を書いたらこうなるんだなというのも面白かった。
- ハム@unia2025年5月14日読み終わった最高の一冊衝撃的な読書体験でした。 かなり人を選ぶ難解な小説(小説と呼ぶのも賛否ありそう)だと思うけど、使い古され陳腐になった「今を生きる」なんてフレーズにとってかわる強烈な生への執着と諦念。 「今」に沈みこむこと、「今」に翻弄されること、そして「今」から立ち上がってくる何かに身を明け渡すこと。そこには過去も未来もなく、ただ無防備な感覚と即興的な応答だけがある。そしてそれは、不調和で、言葉にならず、だからこそ美しい。 それらを表現していく試みが、「香りを写真に撮るようなもの」として捉えられていることもオシャレ。 「意味」への不信と反抗、不安定で痛みとともにある存在として生き抜こうとする衝動の美しさ。 延々と詩的に語りかけるその作風は心を揺さぶられっぱなしだった。 「わたし」から「あなた」への壮大なラブレターにも取れるのがまた良い。 「世界文学の極点」とはまさに看板に偽り無し。 最高でした。
- ビスケットアパート@powerfulfranny2025年5月11日読み終わった一対一で語られていく、わたしとあなた、作者と私、書物と私。こういう読書は久しぶりだった!広大な夜に小さな部屋で二人きり、打ち明けられた秘密を聞いているような気持ち。かつて発見されたラテンアメリカ文学ブームと同時期に、ブラジルにある自分ひとりの部屋で書かれた(と思う)本。 「…あなたも芸術が好きでないことは知っている。わたしは生まれたときから堅固で、英雄で、孤独で、直立していた。そして、絵にならない美しくもない風景のなかで、自分の対位法に出会った。醜さがわたしの戦旗。わたしは醜さを同類の立場で愛する。そして死に挑む。わたしは──わたしは自分の死。」 「…わたしは腕時計をしたまま埋葬されたい。地中でも時を刻んでもらいたい。わたしはいまこんなに広大。凝縮してもいる。わたしの歌は深い。緩慢。でも育っている。さらに大きく。」 「…そう、わたしがあなたに書いているものは、誰のものでもない。誰のものでもない自由は、ひどく危険だ。空気の色をした無限のように。」
- ビスケットアパート@powerfulfranny2025年5月10日読み始めた@ カフェ「…わたしが話しているのは今日──昨日でも明日でもなく──、まさにこのすぐに腐敗してしまう瞬間に。枠にはまったささやかなわたしの自由が、わたしを世界の自由へと繋げる──だが窓とは、四角い枠にはめられた空気でなければ何だろう?わたしは不快を感じながら生きている。」 もうすこし静かで暗い場所で読み始めればよかった。