水の流れ

45件の記録
- ハム@unia2025年5月14日読み終わった最高の一冊衝撃的な読書体験でした。 かなり人を選ぶ難解な小説(小説と呼ぶのも賛否ありそう)だと思うけど、使い古され陳腐になった「今を生きる」なんてフレーズにとってかわる強烈な生への執着と諦念。 「今」に沈みこむこと、「今」に翻弄されること、そして「今」から立ち上がってくる何かに身を明け渡すこと。そこには過去も未来もなく、ただ無防備な感覚と即興的な応答だけがある。そしてそれは、不調和で、言葉にならず、だからこそ美しい。 それらを表現していく試みが、「香りを写真に撮るようなもの」として捉えられていることもオシャレ。 「意味」への不信と反抗、不安定で痛みとともにある存在として生き抜こうとする衝動の美しさ。 延々と詩的に語りかけるその作風は心を揺さぶられっぱなしだった。 「わたし」から「あなた」への壮大なラブレターにも取れるのがまた良い。 「世界文学の極点」とはまさに看板に偽り無し。 最高でした。
- ビスケットアパート@powerfulfranny2025年5月11日読み終わった一対一で語られていく、わたしとあなた、作者と私、書物と私。こういう読書は久しぶりだった!広大な夜に小さな部屋で二人きり、打ち明けられた秘密を聞いているような気持ち。かつて発見されたラテンアメリカ文学ブームと同時期に、ブラジルにある自分ひとりの部屋で書かれた(と思う)本。 「…あなたも芸術が好きでないことは知っている。わたしは生まれたときから堅固で、英雄で、孤独で、直立していた。そして、絵にならない美しくもない風景のなかで、自分の対位法に出会った。醜さがわたしの戦旗。わたしは醜さを同類の立場で愛する。そして死に挑む。わたしは──わたしは自分の死。」 「…わたしは腕時計をしたまま埋葬されたい。地中でも時を刻んでもらいたい。わたしはいまこんなに広大。凝縮してもいる。わたしの歌は深い。緩慢。でも育っている。さらに大きく。」 「…そう、わたしがあなたに書いているものは、誰のものでもない。誰のものでもない自由は、ひどく危険だ。空気の色をした無限のように。」
- ビスケットアパート@powerfulfranny2025年5月10日読み始めた@ カフェ「…わたしが話しているのは今日──昨日でも明日でもなく──、まさにこのすぐに腐敗してしまう瞬間に。枠にはまったささやかなわたしの自由が、わたしを世界の自由へと繋げる──だが窓とは、四角い枠にはめられた空気でなければ何だろう?わたしは不快を感じながら生きている。」 もうすこし静かで暗い場所で読み始めればよかった。