
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年5月11日
墓の建立と継承
辻󠄀井敦大
まだ読んでる
就寝前読書
@ 自宅
文フリで買ったものをいったん積みつつ...続きの第五章を読む。
バブル崩壊以降、「不要不急のものは求めないという風潮」から、人々は生前での墓の購入を控えるようになる。さらに墓石の加工・輸入体制も変わり(海外での墓石加工)、墓石の小売業に異業種が参入するようになり(「お仏壇のはせがわ」等)、値下げ競争が起こった。こうなれば石材店は、前章で見たような墓石の「大量生産体制」に基づき大規模な墓地開発をするのは厳しくなっていく(一〜二節)。
そうしたなかで石材店をはじめとする民間企業は、新たな墓の生前建立の需要を喚起するために、「ガーデニング墓地」(「樹木葬」とも連続)、「永代供養墓」(1980年代から土地価格が上昇するなかで、都心部の寺院墓地の再開発において重要性が認識されるようになる)、「散骨」(元は家制度や墓地開発のデベロッパーへの反発から生まれた運動で「葬送の自由をすすめる会」が推進、ここは特に面白い)など、「墓地に墓石を建てる」以外の選択肢が「商品化」されていく(三〜四節)。
これら「継承を前提としない葬送・墓制」において、例えば散骨の推進運動は「家」に内在していた先祖祭祀、すなわち〈祭祀の永続性〉の放棄を理念として追及するものだった。
一方、永代供養墓は、先行研究では同じく「家」の解体・変容と結びつけられて考えられてきたものの、文字通り「永代に供養されること」に価値を置いている点で、〈祭祀の永続性〉が保証されることが重視されているという。
〈すなわち、散骨と永代供養墓の社会的広がりは、先行研究では「脱継承」とまとめて理解されているが、同じものとしてその展開を分析することは難しいのである。/こうした永代供養墓のもつ〈祭祀の永続性〉という要素を考えるならば、一九九〇年代以降に増加した理由には市場の論理だけでは掴むことのできない意味が存在するはずである。〉(172頁)
その社会的な意味を検討するために、次章からは最後のアクターこと仏教寺院にスポットが当てられていく。いよいよクライマックス。
