朝稲 青沙 "棕櫚を燃やす" 2025年5月12日

棕櫚を燃やす
棕櫚を燃やす
野々井透
なんて寂しい話を書く作家なんだろう。 文章は煌めいていて、平凡な日常が異界のように浮遊して読める。表題作が特に良かった。私の父は確執の只中のまま死んでしまったので、こういった父と娘の物語を読むとどうしても受け付けない気持ちになってしまうのだけどそれでも良かった。まるでひとりぼっちみたいな人ばかりが出てくるのに必ずどこかしらに過去の恋人の面影が書き込まれているのは何故なんだろう。登場人物を孤独に落とし切ることをしたくないのだと勝手に思った。
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